私の地元のアメリカで史上最大のテロが起こり、JTB、近ツリ等のメジャー旅行会社は米国行きのツアーをすべてキャンセルしてしまったそうであるが、最新のテクノロジーと情報収集力を誇るFTBは米国行きのフライトが再開された9月15日にツアーを強行することにした。これもひとえに私の努力の賜物だと言えるだろう。
9月15日(土)
本日米国行きのフライトが再開されたとはいえ、厳戒態勢が敷かれた成田空港第二ターミナルは異様な静けさをたたえていた。警備員はここかしこに配置され、手荷物検査場は緊張感に溢れ係員のおね~ちゃんたちに至っては一人残らずケツの穴の奥の方まで検査してやるぜ!という気迫で業務に励んでいた。検査場を抜け、次の出国審査のところでは通常の2.8倍くらいの時間をかけて慎重に審査を行っていた。
ANA008便サンフランシスコ行きに乗り込み、アップグレード券を使ってビジネスクラスに陣取っていた私であったが、やはり回りに怪しい輩がいないか非常に気になったため、近くのスキンヘッドの大男の挙動が怪しくないことを確認した後、酒を飲んでぐっすり眠ってしまった。
サンフランシスコ国際空港は当然のごとく、成田以上に厳戒態勢が敷かれており、いかにもテロリスト面した無精ひげを生やしていたころのマサやヤスであれば入国を拒否されていただろうと思われた。また、税関を抜けて国内線に乗り換える際に荷物の再チェックがあり、そこで2時間も並ばされた上、結局乗り継ぎのフライトが4時間遅いものになってしまった。
結局デンバー国際空港に到着したのは夜の9時を過ぎた時間帯であったため、その日はコロラド州北部のMotel6に引き払って英気を養うことにした。
9月16日(日)
大阪近鉄バッファローズの球団編成から生きのいい野生のバッファローをラチして何とか日本シリーズまでに間に合わせて欲しいとの依頼を受けていたのだが、西武、ダイエーと熾烈な優勝争いをしている梨田監督には悪いと思ったが、その話はナシだ!と断ってしまっていた。
コロラド州を北上すると程なくしてワイオミング州に入ってしまった。アメリカ北中部のワイオミング、サウスダコタ、ノースダコタ等は野生のバッファローが生き残っている土地として有名である。ほんの数百年前まではアメリカ大陸の多くの土地はバッファローの王国として数百万頭のバッファローが走り回っていたそうだが、インディアンや白人に乱獲された結果、今ではその数は数百等にまで減っているそうだ。
Wind Caveナショナルパークという小さな国立公園がある。世界には様々な洞窟が存在するが、ここにある鍾乳洞は世界で6番目の長さを誇っているということであった。ここでのアクティビティはやはり有料洞窟ツアーである。ツアーは探検の時間や難易度で価格帯は別れているが、今日は一番ベーシックな$8のツアーに参加した。トムという若手のレンジャーに先導されて洞窟のツアーが始まったわけであるが、注意事項として洞窟の壁面には指一本たりとも触れるんじゃ~ね~ぞ!とトムから注意された。もし指などが触れ人間の油が壁についてしまうと太古の昔から続いている侵食のペースが変わってしまったり、岩が変色してしまったりするそうだ。
Wind Caveナショナルパークの見所は実は地中だけでなく、地上にも多くの見所がある。
マサよ、君はプレイリー・ドッグという生き物を知っているか?
プレイリー・ドッグはイタチ+モグラ+ネズミ÷3のような小動物であるが、彼らは大平原の地中にシカゴのマフィアと同様の地下組織を形成しており、地上と地下の2重生活を送っている。外敵が近づくとおびただしい大声で奇声を発するのが特長であるが、何となく憎めない奴らである。
世界最大のウシ科動物であり、キムタクのようなロン毛をなびかせているバッファローが30頭くらいの群れを形成しているのを私のキャノンEOS-5の85mmレンズが撮らえたはずである!?学名をアメリカバイソンというこの巨大なウシは900kgに達するものもいるが本気で走ればカール・ルイスよりも早いという話である。
マサよ、君はアメリカ最強の観光地はどこか知っているか??史上最大アメリカ横断ウルトラクイズでもしばしばチェックポイントとして放送された実績があるあの4人の偉大な大統領の顔を岩に刻みつけた場所はサウスダコタ州のマウントラシュモア($8.-)という場所であり、ここに来なければアメリカに来たことにはならないと言われている聖地である。
ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、エイブラハム・リンカーン、セオドア・ルーズベルトの顔面は高さ200mあまりの山の岩面に1927年~1941年にかけて当時の最先端のテクノロジーと彫刻師の技を駆使して掘り込まれたものである。ここのファシリティはマサに一大観光拠点としての様相を呈しており、大駐車場完備、ビデオが見られるビジターセンター、レストラン、ギフトショップなどを備えている。また、ビジターセンターの外には野外コンサートも出来そうな会場があり、その日は夜8時からニューヨークテロの犠牲者の冥福を祈ると共に、このおとしまえは必ずつけてやるぜ!といったような催し物がしめやかにとりおこなわれていた。ちなみに大統領の顔は夜8時半~9時半の1時間に渡りライトアップされ、サウスダコタの夜を彩っている。
9月17日(月)
今日は朝から濃い霧がI-90ハイウエイを覆っていた。Badlandsナショナルパーク($10.-)に到着したのは午前8時過ぎであったが、濃霧のため、まわりの景色はほとんど見えない状態であった。10時を過ぎた頃からやっと霧が晴れはじめ、原始時代を彷彿とさせるような光景が姿を現し始めた。ここの地形はユタやアリゾナのような赤土ではなく、多少岩肌の色が薄いものの、起伏は何たらキャニオンのように激しく、また大平原が果てしなく広がっている様子を見ることが出来る。ここの生態系は昨日訪問したWind Caveと同じくおびただしい数のプレイリー・ドッグと200頭あまりのバッファローを生息させている。
マサよ、君は「宇宙にいるのはわれわれだけではない!」ということを知っているか?スティーブン・スピルバーグの出世作となった「未知との遭遇」の舞台であるDevils Tower($8.-)がワイオミング州にそびえているので見物に行って来た。砂の嵐に隠されているのはバビル2世の居住地であるバビルの塔であるが、Devils Towerは遡ること6000万年前の火山活動によりマグマが地中で固まり、硬い柱状の花崗岩を形成し、まわりの土地が侵食された後に硬い地層のそこだけが残ってタワー上のオブジェを形成した代物である。高さ260mあまりのタワーに毎日何人ものロッククライマーが登っており、今日も何人かが壁面に張り付いている様子が観察された。柱状の岩肌のため、縦に巨大な線が入っているように見えるが、古いインディアンの伝説によればそれは巨大な熊がタワーに登ろうとして爪で引っ掻いた後だということである。
9月18日(火)
さらに北上し、はるばるノースダコタ州にやって来た。州の南にセオドア・ルーズベルトナショナルパークというマイナーな国立公園があったのでとりあえず見に行ってきた。政治家で、自然主義者で冒険家であった第26代大統領のセオドア・ルーズベルトを記念して制定されたこのナショナルパークはPainted Canyonと呼ばれる多種多様な色彩と自然動物の宝庫として保護されている。広大な敷地には野生のバッファローや鹿、うっとおしいほどの数のプレイリー・ドッグ等が生息している。
ノースダコタ州からI-94を西に走ると程なくしてFTB史上46州めのモンタナ州に入ってしまった。モンタナ州やダコタ系の北部の州は見渡す限りの大平原であり、地平線の彼方に夕日が沈んでいく様子を観察でき、だれでもノスタルジックな気分を堪能することが出来るのだ。
祝!FTB大リーグ30球団全球場見学達成記念
Takeo FUKUDA Hideo NOMO マサ(一般人のリファレンス)
*シアトル・マリナーズ
‐セーフィコフィールド ○ ○ ×
‐ザ・キングドーム(爆破解体済) ○ × ×
*オークランド・アスレチックス
‐ネットワークアソシエイツコロシアム ○ ○ ○
*アナハイム・エンジェルス
‐エディソンフィールド ○ ○ ○
*テキサス・レンジャーズ
‐ボールパークインアーリントン ○ ○ ×
*ミネソタ・ツインズ
‐ヒューバート・H・ハンフリーメトロドーム ○ ○ ×
*シカゴ・ホワイトソックス
‐コミスキーパーク ○ ○ ×
*デトロイト・タイガース
‐コメリカパーク ○ ○ ×
‐タイガースタジアム(老朽化) ○ × ×
*クリーブランド・インディアンス
‐ジェイコブスフィールド ○ ○ ×
*カンザスシティ・ロイヤルズ
‐カウフマンスタジアム ○ ○ ×
*トロント・ブルージェイズ
‐ザ・スカイドーム ○ ○ ×
*ボストンレッドソックス
‐フェンウエイパーク ○ ○ ×
*ニューヨーク・ヤンキ‐ス
‐ヤンキースタジアム ○ ○ ×
*ボルチモア・オリオールズ
‐オリオールパークアットカムデンヤード ○ ○ ×
*タンパベイ・デビルレイズ
‐トロピカーナフィールド ○ ○ ×
*サンフランシスコ・ジャイアンツ
‐パシフィックベルボールパーク ○ × ×
‐スリーコムパーク(老朽化) ○ ○ ○
*ロサンジェルス・ドジャース
‐ドジャースタジアム ○ ○ ×
*サンディエゴ・パドレス
‐クアルコムスタジアム ○ ○ ×
*アリゾナ・ダイアモンドバックス
‐バンクワンボールパーク ○ ○ ×
*コロラド・ロッキーズ
‐クアーズフィールド ○ ○ ×
‐マイルハイスタジアム(アメフト専用化) × ○ ×
*シンシナチ・レッズ
‐シナジーフィールド ○ ○ ×
*シカゴ・カブス
‐リグレーフィールド ○ ○ ×
*ピッツバーグ・パイレーツ
‐PNCパーク ○ × ×
‐スリーリバーズスタジアム(解体済) ○ ○ ×
*セントルイス・カージナルス
‐ブッシュスタジアム ○ ○ ×
*ヒューストン・アストロズ
‐エンロンフィールド ○ ○ ×
‐ジ・アストロドーム(老朽化) ○ ○ ×
*ミルウォーキー・ブリュワーズ
‐ミラーパーク ○ × ×
‐カウンティスタジアム(解体) ○ ○ ×
*モントリオール・エキスポズ
‐オリンピックスタジアム ○ ○ ×
*ニューヨーク・メッツ
‐シェイスタジアム ○ ○ ×
*フィラデルフィア・フィリーズ
‐ベテランズスタジアム ○ ○ ×
*アトランタ・ブレーブス
‐ターナーフィールド ○ ○ ×
‐フルトンカウンティスタジアム(解体済) × ○ ×
*フロリダ・マーリンズ
‐プロプレイヤースタジアム ○ ○ ×
9月19日(水)
I-25を一気に南下して1年ぶりにデンバーのダウンタウンに戻ってきた。ここでふとアメリカの国歌を聴きたいという衝動に駆られたため、クアーズフィールドに立ち寄った。テロの影響で一時中断されていた大リーグは今週月曜日から復活し、選手はユニフォームに星条旗を縫い付けてグラウンドに登場していた。試合前のセレモニーでは黙祷の後、選手と関係者全員がベンチ前に整列し、神妙な顔つきで国歌を斉唱し、アメリカの復活を誓っていた。
ミネアポリス行きの飛行機に乗るために試合終了を待たずにクアーズフィールドを後にし、デンバー空港へ到着した。ところが不幸にも夜8時50分のフライトはキャンセルされてしまったとの冷たい通告をチェックインカウンターで受けてしまった。マサであればここぞとばかりに大クレームの場外乱闘に持ち込みデンバーでの無料宿泊券等をせしめていたであろうが、心の優しい私は、ハイジャックで痛手を被っているU.A.をこれ以上いじめるのはかわいそうだと思ったので甘んじてスケジュール変更を受けることにした。
9月20日(木)
FTB史上47州めのミネソタ州に到着したのは午前11時前だった。ミネアポリス・セントポール国際空港は両市のダウンタウンからほど近く交通の便のいいところに立地されていた。ミネソタ・ツインズの本拠地はヒュ‐バート・H・ハンフリー メトロドームというドーム球場である。この球場の建築様式は後に東京ドームを建築した竹中工務店にも引き継がれたエアードームである。しかし、ここは東京ドームほど内部と外部の気圧差は感じさせず、回転ドアで出入りしても突風が吹いてくるようなことはなかった。ところで球場の入り口でニューヨークのテロに対する寄付金を募っており、寄付をした人にはもれなく星条旗がもらえるので大金$1をはたいてミニチュアの国旗を入手して入場した。また、財務省のマサの名前でも$10,000寄付しておいたのでボーナス時にかならず利息付で私に返済するように・・・(領収書なし)
今日は平日のデーゲームで試合も早く終わったので市街地の観光をすることにした。ミネアポリスとセントポールはそれぞれミシシッピ川をはさんだ対岸に位置しており、双子の都市として有名である。純粋なビジネス街であるミネアポリスのダウンタウンに対し、セントポールはその名前からもわかる通り、カトリック系のファシリティが数多く存在している。また、ここはミネソタ州の州都でもあり、州議事堂を中心とした街づくりがされている。
9月21日(金)
ミネアポリス・セントポール空港からシカゴ経由でダラス・フォートワース空港に2時過ぎに到着した。早速フォートワースのダウンタウンを抜け3年ぶりにストックヤードに戻って来た。ストックヤードはヒストリックなテキサスカウボーイの風情を残した観光地であり、家畜の取引所やロデオスタジアムや土産物屋のモール、カウボーイの殿堂等多くの見所がある。テキサスロングホーンというおびただしく長い角を持った地元の牛がこの地ではたくさん飼育されており、たまたまカウボーイやカウガールによる牛追いの現場を目撃することが出来た。「おら、おら、しっかり歩かんかい!もたもたしてるとその場でビーフジャーキーにしちまうぞ!!」というような罵声を発し鞭をなびかせながらテキサスロングホーンを誘導している様はマサに圧巻であった。
ストックヤードの目抜き通りにトラディショナルなステーキハウスがあったので味見をしてみることにした。$21のサーロインステーキを発注し、こころなしか裏手の方で「モ~~~、助けてくれ!!」という悲鳴を聞いたような錯覚にとらわれた数分後、おばちゃんが笑顔でステーキを持ってきた。重さ12オンスのステーキは厚さ1インチ(2.5cm)にカットされており、非常に食べ応えがあった。
テキサス・レンジャーズの本拠地はダラスとフォートワースの中間に位置したアーリントンという都市にあるボールパークインアーリントンという球場である。シアトル・マリナーズに大差をつけられ早くも優勝戦線から脱落しているにもかかわらず、今日も37,000人以上の客が入っていた。アレックス・ロドリゲスというMLBで一番の高給取りのスーパースターの47号本塁打等でレンジャーズがエンジェルスを下し、場内は興奮のルツボと化していた。試合後、球場で大花火大会があり、センターバックスクリーン上から打ち上げられる花火を見ながら、どこからともなく「U!S!A!」という大コールが沸き起こっていた。
9月22日(土)
I-45を南下して3年ぶりにヒューストンに帰ってきたと思ったらそのまま突き抜けてギャルベストンまで来てしまった。テキサス州南のリゾート地であり、メキシコ湾に面しているギャルベストンの海は相変わらずウーロン茶色をしていたのが印象的であった。
ヒューストン・アストロズの本拠地は1965年に建立された最古の屋根付き球場であるジ・アストロドームであった。しかし、老朽化と時代遅れのため、ア軍は新球場であるエンロン・フィールドを2000年にオープンさせていた。ここの球場の特長は開閉式屋根付き蒸気機関車付き天然芝のスタジアムであるということであるが、ア軍の選手がホームランを打ったりすると球場の左中間に備え付けの機関車が汽笛を上げて疾走する仕掛けになっている。
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というわけで今回の強行軍により、FTBはMLBの30球団のすべての球場を制覇することに成功したことに相成りました(冒頭の表を参照)。これは民間人ではHideo Nomoに次ぐ快挙と予想されるので間違いなくマサより賞金100万円と金一封が授与されることになります。
FTBサマリー
総飛行機代:\208,440(内\110,000分はANAご利用券使用+アップグレード、マサであれば\60万くらいかかるであろう)
総宿泊費:$370.89
総ガソリン代 : $127.54
総レンタカー代:$572.27
総走行距離:2,861マイル
総轢き殺しそうになった鹿の総数:1頭
今後のFTB活動予定
*地球環境問題をカンガルーと一緒にカンガエルー、オーストラリアツアー