私がひいきにしてやっている江戸川区にある東京健康ランドでゆったり、たっぷり、のんびり過ごしながら常々考えていたのだが、これまでディズニーランド、アイルランド、アイスランド、グリーンランド等様様なランドを制覇してきたFTBであるが、それらは所詮北半球に存在するランドに他ならない。ところで地球上で一番南にあるランドはどこかと調べて見たところ、それは羊大国ニュージーランドであることが判明した。さらなる調査を重ねた結果、ニュージーランド航空が私がゴールド会員になっているスターアライアンスに加盟していることをつきとめたので何とか「なるほどザFTB秋の祭典」のオーラスを飾るべく、ツアーを強行することが決定した。
11月23日(日)
ANA率いるスターアライアンスに加盟しながら、JALとのコードシェアを行っているという複雑なお家事情を持つニュージーランド航空のチェックインはJALのカウンターで行われていた。JALのロゴをあしらったボーディングパスを受け取るとJAL系のヤマトラウンジでしばしくつろいだあと、午後6時30分発のNZ090便、B747-400機に搭乗した。ニュージーランド航空ではエコノミークラスをパシフィッククラスという名称に変えてお茶を濁しているものの座っているシートも食事も所詮はエコノミークラスと同等であった。しかも航路上で赤道を越えるという一大イベントがあるのもかかわらず、乗客が寝ているのをよいことに何のアナウンスもなされることはなかったのだ。
11月24日(月)
飛行機は定刻どおり、午前9時過ぎにニュージーランド最大の都市であるオークランド空港に到着した。ニュージーランドは北島と南島から構成されており、今回のツアーは超南の島が目的地であったため、北島にあるオークランド空港からとっとと飛行機を乗り換えて南島最大の都市のクライストチャーチを目指すことになっていた。
南半球に位置するニュージーランドは当然日本とは季節が逆で春のこの時期は時差の関係で日本より4時間早く時を刻んでいる。午後1時前にクライストチャーチ国際空港に到着するとハーツでフォードのマニュアルのエコノミーカーをレンタルすると早速市街へと乗り出すことになったのだが、日本と同じ左側通行なので車も右ハンドルであるにもかかわらずウインカーとワイパーの仕様は左ハンドル車仕様となっていたので交差点を曲がる際にいきなりワイパーを動かすという屈辱を味わってしまった。南緯45度という高緯度に位置し、春とはいえ日本の晩秋のような季節を引き継いだようなクライストチャーチの気候は肌寒く市民や観光客はまだジャケットを羽織っていた。
クライストチャーチのランドマークとしてCity Centerの中心にクライストチャーチ大聖堂が君臨しているので早速見物に行って来た。1864年に着工し、1904年に竣工したこの箱物は高さ63mの尖塔を持つゴシック様式の美しい教会であり、中には一般市民が懺悔出来るファシリティが備えられているのだが、マサのような悪徳高級官僚が懺悔をしていると×点を出したイエスキリストの指令で必ず上から水をかけられるのではないかと思われた。
マサよ、君は南極点到達第一号を目指してノルウェーの探検家アムンゼンとしのぎを削り、結局アムンゼンに先を越され失意のうちに南極点からの帰還途上で凍死してしまったイギリスの探検家キャプテン・スコットを知っているか!?
クライストチャーチの外港のリトルトンを出航して南極点を目指したスコットの像がCity Centerのエイボン川のほとりに建てられているので今後南極点を目指すことになるFTBとしても探検家スピリットを伝授していただくべくスコット像にお参りに行かなければならなかったのだ。
市の中心を流れるエイボン川には38の橋が架かっているのだが、そのなかでひときわ美しく有名なのが追憶の橋である。大きなアーチ型の門を持った追憶の橋は第一次世界大戦で命を落とした兵士を追悼するために建立されたものである。
大聖堂を中心に市の中心部を歩き回っているとふいに参議院議員を辞職したいような無責任な衝動にかられてしまった。ふと我に返ると目の前に大橋巨泉が経営するOKギフトショップが日本人観光客から暴利をむさぼるようないでたちで君臨していやがった。
空港の近くに国際南極センター(NZ$30)という南極好きにはたまらないファシリティが開業していたので見物してみることにした。ニュージーランドと南極とは距離的にも近く、クライストチャーチ国際空港が南極への輸送・通信基地として使われるなど深いつながりをもっている。ここでのアクティビティとして南極で実際に使用される雪上車に乗ってファシリティ周辺の悪路を暴走するというオプションがある。2002年12月にここに来た皇太子と雅子妃も実車した雪上車はキャタピラドリフト走行も滑らかに45度の傾斜もらくらくと上り下りし、雪上車が半分ほど沈んでしまう大きな水溜りも楽々とクリアして観光客も思わずこれがあれば南極旅行も快適になるのではないかと錯覚してしまうほどエキサイティングな経験をさせられてしまうのだ。また、ビジターセンターの中には-5℃くらいの冷凍庫に防寒具を付けて閉じ込められ、松任谷由美でも凍ってしまいそうなブリザード攻撃を体感出来るアトラクションもある。
11月25日(火)
ニュージーランド南島の東海岸ほぼ中央に位置するクライストチャーチからアルプス街道を通り、クイーンズタウンを目指すことにした。スイスの山岳風景を彷彿とさせ、南半球のアルプスということでサザンアルプスとよばれる山並みを開拓し、雄大な牧草地帯となっている丘陵地にはおびただしいほどの羊達がのんきに草を食っている様子を永遠と車窓から眺めていると突然美しい湖に遭遇した。サザンアルプスの氷河から絶え間なく供給される水により、南島にはおびただしい数の氷河湖が形成されているのだが、突然目の前に姿を現したテカポ湖の姿には誰しもが感嘆の声をあげるほど美しいものであった。
テカポ湖から約45kmほど車を走らせるとこれまた美しいプカキ湖が出現した。晴れ渡った青空の下、プカキ湖のはるかかなたにはニュージーランドの最高峰であるマウントクックの勇姿を拝むことが出来た。ミルキーブルーと形容される独特の湖の色と白い氷河を抱いたマウントクックのコントラストを見ると桜田淳子でなくても自然と♪ようこそここへクッククック♪と口ずさんでしまうのではないかと思われた。
500km弱の道のりを6時間以上かけてついにニュージーランド最大の商業的観光地であるクイーンズタウンに到着した。冬場にはスキー場として賑わうコロネットピークから町を見下ろした後、早速ダウンタウンに侵入することにした。ワカティプ湖畔に広がるクイーンズタウンはマサにクイーンビクトリアにふさわしい風光明媚な町である。湖畔にアンダーウォーター・ワールド(NZ$5)というボート乗り場の地下から湖の中の魚を見物出来るファシリティがあり、ニジマス等の淡水魚が餌につられて目の前にやってくる姿を眺めつつクイーンズタウンでの優雅なひとときを過ごすことに相成ったのだ。
11月26日(水)
ニュージーランド最強の商業的観光地であるクイーンズタウンは無数のアクティビティで溢れている。その中でもジェットボートに乗って360度スピンを決められて気分が悪くならないとニュージーランドに来た意味がないと言われているのでワカティプ湖畔で営業しているTwin Rivers Jet (NZ$75)(http://www.twinriversjet.co.nz/)が提供する1時間のジェットボートに乗ってみることにした。ジェット噴射式のボートは湖面を時速80kmで疾走し、湖畔の風光明媚な風景が風のように流れていく。途中から川に入ると川岸に生えている木々すれすれをドリフト航法で間一髪でかわし、乗客の度肝を抜きながら、パイロットが手を上に上げてぐるっと回すとそれは360度スピンのサインとなり、救命道具を身にまとった観光客であっても一瞬ボートから放り出されるような重力がかかり、恐怖とスリルのどん底にたたき落とされることになる。
ジェットボートから降りて内臓の動きを鎮めた後に向かった先はキーウィ&バードライフ・パーク(NZ$15.50)である。ニュージーランドの国鳥として君臨しているキーウィは個体数が減っているため、国中のいたるところで保護されているのだが、羽を持たず、夜行性のため、内部を暗くされた部屋でうごめいている様子を観察することになる。中原めい子よろしく軽快に♪きみたちキーウィ・パパイア・マンゴだね♪と歌いながらキーウィのシルエットにくりぬかれた入り口を抜け、入場料を払って内部に侵入することにした。ここではキーウィ小屋のほかにニュージーランドの原生林を彷彿とさせる環境で珍しい鳥をライブで観察することが出来るシステムになっている。
クイーンズタウンから北東へ21kmほど走るとアロータウンというHistoricな町に到着した。この町を流れるアロー川で1862年に金が発見され、急速に発展したらしいが、今ではゴールドラッシュの古き良き時代を思い起こさせるようなレトリック調の町づくりにより多くの観光客を集めている。
マサよ! 君は商業バンジ-ジャンプの発祥の地がどこにあるか知っているか!?
ということで世界最初のバンジ-サイトとして有名なカワウラ川を見下ろす高さ43mの橋から人々がダイビングする様子を見物に行ってきた。今後気合の入ってないマサをいつでもどこでもバンジ-ジャンプさせるためのノウハウとバンジ-後の処理方法を身につけるのが目的であったのだが、通常であれば私自身が伸身2回転半宙返りwithフィッシュキャッチという荒業を披露して観光客の拍手喝采を浴びているところであったのだが、時間がなく断念せざるを得なかった。
マサよ~ 時間がなかったのだ~
ということで命からがらクイーンズタウンを後にしてワナカという静かな湖畔のリゾートタウンに逃げこむことにした。ワナカ湖を背景にしたこじんまりとした静かな町はそれでも湖を中心としたボートや水上スキー等の数多くのアクティビティのパンフレットで溢れ返っていたのであった。
11月27日(木)
統一教会にだまされる前の純粋な桜田淳子の歌声がどうしても忘れられなかったのでマウントクックを望む山岳リゾートであるアオラキを訪問することにした。大航海時代のイギリスの探検家キャプテン・クックの名を冠したマウントクックは原住民であるマオリ族の名前ではアオラキとよばれ、それがそのまま町の名前になっているのだ。
あいにくの悪天候のため、見通しが悪くサザンアルプスの明峰を拝むことが出来なかったものの、マウントクックビレッジに向かう途中のテカポ湖が醸し出す幻想的なミルキーブルーに染まった風景を眺めながら車を転がすことが出来た。ビレッジでのアクティビティは主に山歩きとなるので約1時間のウォーキングコースであるキーアポイントを目指すことにした。ところでキーアとはニュージーランド南島の山岳地帯に住むオウム科の鳥である。体長50cmほどで全体が緑褐色のこの怪鳥は飛びながら”キィアァ~”となめた鳴き声を発するのでマオリ族にキーアと名付けられたそうだ。この鳥は人をあまり恐れないため、油断しているマサ等の持ち物を奪おうとするので注意しなければならない。この怪鳥が飛び交っているポイントがキーアポイントであり、ここからマウントクックの勇姿が見えるはずであったのだが、分厚い雲に妨げられてしまい、またここでは♪私の青い鳥♪として君臨するキーアの登場もなかったのだ。
11月28日(金)
昨日のうちにクライストチャーチに戻っていたので今日は朝から再びクライストチャーチの見所の解明に乗り出すことにした。クライストチャーチ大聖堂スクエアの一角にサザン・エンカウンター水族館(NZ$10)という1997年にオープンしたニュージーランド各地の淡水魚をコレクションした小じんまりした水族館が営業していたので見物することにした。ここでは大型のうなぎやマスや現地でクレイフィッシュと呼ばれる高級伊勢エビが動作している様子を思う存分堪能することが出来た。
大聖堂から西側に5分ほど歩くとアートセンターというゴシック調の建物群が見えてくる。アート好きの輩はここで演劇や工芸に親しむことが出来るのだが、私はここをスルーして突き当たりのカンタベリー博物館(寄附NZ$5)を訪問することにした。ニュージーランド南島の大都市クライストチャーチを擁するカンタベリー州は古くは原住民のマオリ族が狩りや釣りをして平和に暮らしていたのだが、1800年代からイギリスより移民が流入するようになり、欧州の近代文化と酪農産業が発達する歴史を学習することが出来た。ここでの最大の見所はニュージーランドにかつて生息していた巨鳥モアの卵と骨格の標本であるのだが、それ以外にもアムンゼン、スコットを中心とした南極探検家の装備や雪上車等も十分南極通をうならせるほど迫力のある体制で展示されている。
カンタベリー博物館にて英国移民の歴史を学習することが出来たので、実際にイギリス人が入植してきた港であるリトルトンを訪問することにした。リトルトンの町は天然の良港以外はこぢんまりとした町で隔日しか営業していない博物館以外はたいした見所はなかったのでフィッシュアンドチップスを食ってとっとと撤収することにした。坂の多いリトルトンから山道気味の道路が開けていたので車を転がしていると上に行けば行くほどこれぞニュージーランドという光景が目の前に開けてきた。
とある羊の放牧場で羊野郎がのんきに草を食っていやがったのでとりあえず羊達にアンソニー・ホプキンスをどう思うか聞いてみることにした。ところが羊達は「メェ~そうもない」という表情を浮かべながら沈黙して逃げてしまったのだ。
高台からリトルトン港の入り江の美しいブルーやクライストチャーチの町並み、はるか遠くに広がるサザンアルプス等の山並みを眺めながら走っているとクライストチャーチゴンドラに到着した。通常の観光客はふもとからゴンドラ(NZ$16)に乗って標高400mの頂上までやってくるのだが、上級トラベラーの私は車を高台に止めて徒歩で頂上に到着することが出来た。頂上には展望レストランと土産物屋、クライストチャーチの発展の歴史をダイジェストで学習することが出来るタイムトラベルというちょっとした博物館があるのがうれしかった。
今日はクライストチャーチで過ごす最後の夜となるため、巨泉に義理立てするためにOKギフトショップで蜂蜜を原料にした高価な健康食品であるプロポリスや巨泉キャラクター付きボールペン等を購入して彼の営業成績に貢献してやることにした。
11月29日(土)
早朝の便にて空路クライストチャーチからオークランド空港まで戻ってきた。NZ099便成田行きの搭乗ゲートはおびただしい数の日本人観光客でごった返していた。カウンターのアナウンスで不意に私の名前が呼ばれたので行ってみると頼みもしないのに私の席がビジネスクラスにアップグレードされてしまったのでこいつらもやっとスターアライアンスのゴールド会員である私の実力を理解したのだと思い、彼らの施しを受けることにした。
意味もなくただっ広い前から2番目の席でウエルカムシャンペンを飲みながらくつろいでいると通路を挟んだ私の隣の席に明らかにマサの太ももより太い腕を持ったいかつい野獣が搭乗して来た。野獣はK1の正道会館の師範代である角田信朗http://www.so-net.ne.jp/feg/k-1/fighters/kakuda_nobuaki.htmであったのでとりあえず、「正道会館の石井館長だけでなく、あなたも脱税しているではないか!?」と聞こうと思ったのだが、今日はヘッドギアとプロテクターを持参していなかったので断念せざるを得なかった。尚、師範代は飲み物はニュージーランド産白ワインのシャルドネを何杯も飲み、持参しているDVDプレイヤーを見ているふりをして寝るという上級技を披露していた。
ニュージーランド情報
*農業と酪農立国であるニュージーランドの植物検疫は武器の持ち込みよりも厳しくおこなわれている尚、黙って(気づかずに)食物を持ち込んだことが発覚するとその場でNZ$200の罰金を取られてしまうのだ。
*ニュージーランド国内の主要宿泊施設としてモーテルが君臨しているのだが、どのモーテルも小奇麗に整備されている。また、チェックイン時のホスピタリティとしてミルクを恵んでくれ、しかもスタンダードかローファットかの指定も出来るという酪農大国ならではの独自の実力を示している。
*バンジ-ジャンプ!?とともにニュージーランドの国技になっているラグビーのナショナルチームはニュージーランド航空とも提携しているかの有名なオールブラックスである。オールブラックスは試合の前に相手チームの目の前で「カマテ、カマテ」と叫びながらハカという儀式を行うことで試合への闘志を高めているのだが、このハカの起源は原住民であるマオリ族の戦いの前に行う踊りである。
*全日空の機内映画でも上映され、あまりの面白くなさに10分で断念してしまったロードオブザリングのロケ地はクイーンズタウンの近くにあり、ロードオブザリングツアーというものまで出現してしまっている始末である。また、ニュージーランド航空ではロードオブザリングのキャストを機体にあしらったジャンボまで就航させているという気合の入れようである。
FTBサマリー
総飛行機代 ¥165,040
総宿泊費 NZ$513 (NZ$1 = \77.-)
総レンタカー代 NZ$555
総ガソリン代 NZ$91.18
総走行距離 1,429km
総空港使用料 NZ$25