なるほどザFTB2003秋の祭典第1弾日本三景天橋立

今年は夏の猛暑を経験することなく秋を迎えてしまった今日この頃であるが、秋はトラベルの季節ということもあり、1998年にテキサス州オースティンで実行して以来の「なるほどザFTB秋の祭典」を復活させ、物足りなかった夏に向けるべきであったエネルギーと鬱憤を晴らすべき、楠田枝里子も納得するような過酷なツアースケジュールが組まれることになった。その第1弾として選ばれた訪問先は古代から文人、歌人、天皇らを引きつけてやまない京都の天橋立である。

実は1990年~1994年にかけて京都市民として京セラという会社の京都本社を仕切っていた私であったが、何故か天橋立を見物に訪れた実績を持っていなかったのだ。京都府は広く、北部は遠く日本海にまでおよんでいるせいもあり、また北部は北朝鮮の工作船の活動も活発な様子だったので避けて通らざるを得ない目的地でもあったのだ。

9月6日(土)

早朝7時10分のANA293便で目指した先は何故か山陰の鳥取空港であった。定刻8時20分に空港に到着し、草なぎ剛の推奨するトヨタレンカーでカーナビ付きヴィッツをレンタルすると日本海沿岸部を東に進路を取り、一路丹後半島を目指した。兵庫県豊岡市を抜け、京都府峰山町に差し掛かるといきなり阪神の快進撃に対する強い妬みの感情に襲われてしまった。実は税金対策で定評のあるサッチ-の旦那として有名な野村克也氏(現社会人野球シダックス監督)は京都の峰山高校の出身でテスト生として南海ホークスに入団を果たして身を成した話は阪神ファンであれば誰でも知っていると思うが、この地域では野村を退けて阪神監督に就任した星野に対する妬みと怨念が渦巻いているのである。

ノムさんのぼやきのようなエンジン音が何とかおさまると丹後半島の東の付け根に位置する天橋立にお昼頃到着することが出来た。ドライブインで地元の寿司定食を食ったあと、早速現地の調査に乗り出すことにした。日本三景天ノ橋立西国二十八番という肩書きを持つ成相山成相寺が天橋立を見下ろすようにそびえているので¥500の大金をはたいて参拝に行って来た。成相(ナリアイ)寺のキャッチフレーズは願い事必ず成り合う寺というものだが、実は身の毛もよだつような由来と歴史を持っているのだ。

成相寺を代表するファシリティとして「撞かずの鐘」が君臨しているのだが、これは1609年に地元のえらいおっさんが古い鐘に代わる新しい鐘を鋳造するために地元民に寄付を募っていた。しかしながら一回、二回と鋳造に失敗し、三回目の寄進を募った時、裕福そうな家の女房が「子供は沢山居るがお寺へ寄附する金はない」と険しい目の色で言いやがったそうだ。やがて鐘鋳造の日に大勢の人の中に例の女房も乳呑児を抱えて見物していたのだが、銅湯となったルツボの中に誤って乳呑児を落してしまった。このような悲劇を秘めて出来上がった鐘を撞くと山々に美しい音色がこだましていた。しかし、耳を澄ますと子供の泣き声、母親を呼ぶ悲しい声が聞こえ、聞いている人々はあまりの哀れさに子供の成仏を願って一切この鐘を撞くことをやめ、撞かずの鐘となったそうだ。ど~だ!身の毛がよだったろう!?

ということで成相寺の歴史とそこにまつわる民話を十分に堪能した後、展望台から天橋立を見下ろし、その後ホテルにチェックインし、天橋立温泉で疲れを取り、だらだらとした夜を過ごすことになった。

9月7日(日)

丹後半島の付け根から宮津湾(与謝の海)と阿蘇海をくっきり分けて砂洲が流れるように細長くのびる天橋立は長さ3.6kmにもおよぶ松並木に囲まれた絶好の散歩道を提供しているので早朝より散策をすることにした。知恩寺という由緒ある寺を起点に延旋橋という観光船を通す時に回転して進路を提供する橋を渡り、海水浴場や行き交う船やモーターボートを横目に見ながら40分ほど歩くと対岸に位置する傘松公園行きのケーブルカーターミナルに到着した。黄金の足腰を持つ私はケーブルカーで4分、リフトで6分かかる急坂を迂回路の階段を汗だくになりつつ登ると傘松公園の展望台に到着することが出来た。

マサよ、君は天橋立くんだりまで来て「股のぞき」をしないと天橋立に来たことにはならないことを知っているか!?

ということで、「股のぞき」で有名な傘松公園から逆さにのぞく景色は、マサに天に架ける橋の趣を呈しているのだが、御多分にもれずいかにも足腰の悪そうなじじいやばばあもおっぴろげた股の間に頭を突っ込んで「股のぞき」を満喫していやがった。また、ご丁寧にも展望台には「股のぞき」用の足型が示されており、スタンスまで決められているので世界の王が開発するであろう一本足股のぞきのような応用に走ってはいけないことになっているのだ。

傘松公園を下り、再度天橋立の松並木を引き返し、傘松公園の対岸のビューポイントである天橋立ビューランド(飛龍観展望所)行きのリフト(¥800)に乗り込んだ。このビューランドは展望所の他にチャチな遊園地という形式になっているのだが、この角度から見る天橋立はマサに龍が天に昇るようなダイナミズムを覚えさせるものである。

天橋立の全貌を満喫し、和泉式部顔負けの歌人になることに成功して満足したので丹後半島をぐるッと一周して北朝鮮の工作船が容易にカモフラージュ出来る入り組んだ海岸線と青い海を右手に見ながら、鳥取への帰路を急いだ。

マサよ、君は山陰地方にサハラ砂漠を髣髴とさせる乾いた大地があることを知っているか!?

というわけで、サンセットが迫ってきた時間帯に約10年ぶりの鳥取砂丘に到着した。山陰海岸国立公園が誇る鳥取砂丘は東西16km、南北2kmにおよぶ日本最大の砂丘である。この砂丘の砂のふるさとは中国山地であり、そこには広く花崗岩質の岩石が分布しており、これらが風化して真砂(マサ!)土と呼ばれるもろい岩の地層になった。この地層が侵食され、千代川によって砕かれつつ運ばれて鳥取平野に堆積し、日本海に流出した。日本海に出た砂は沿岸流に乗って海岸に打ち上げられ、強い北西風によって内陸に運ばれ、鳥取砂丘が出来上がったのだ。

尚、今回訪れた鳥取砂丘は長雨の影響が祟ってかそこかしこに草が生えており、十分に乾いた気分を満喫することが出来なかったのだが、初めてここに来たシロウトは一様に驚嘆の声をあげていた。また、砂丘ではラクダライディングが可能であり、ラクダと一緒に写真をとるだけでも金を取られてしまうのだ。

FTBサマリー

総飛行機代 ¥600

総レンタカー代 ¥10,500

総ガソリン代 ¥2,264

総宿泊費 ¥5,750

次回は第2弾高速中国編をお送りします。

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