♪と~き~を~かけるしょ~じょ~、あ~い~はかがやくぅふねぇ~♪(Song by Tomoyo Harada)
マサよ、君は尾道が日本最強レベルの映画のロケ地として君臨していることを知っているか!?
ということで、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子を要して角川映画の黄金時代を築き、その角川三人娘の中で唯一の生き残りの原田知世のデビュー作が大林宣彦監督の出身地である尾道で撮影されたことは映画ファンであれば誰でも知っている事実である。しかも尾道はいくつかの島を越えて四国の今治へと続くしまなみ海道の拠点都市として君臨しており、ここでタイムスリップしないと一人前の♪さまよ~い人にな~る♪ことが出来ないのである。
第一部
3月18日(土)
午前7時15分発羽田発広島行きANA671便、B777-200(http://www.ana.co.jp/ana-info/ana/ana_history/fleet/1983/772.html)のスーパーシートにふんぞり帰って朝飯なんぞを食っていると9時前に雨の広島空港に到着し、そこからバスで三原駅に向かい、さらにJRに乗り換えて情緒のある尾道駅に到着した。とりあえず駅前のしまなみ交流館というファシリティで観光情報を入手するとなんと映画の町尾道に原寸大の大和が再現されているという驚くべき事実に直面してしまった。
駅前桟橋から渡し船(¥100)に乗り、対岸の向島に上陸するとシャトルバスで日立造船向島西工場の奥地へと案内された。2005年7月17日から2006年5月7日まで一般公開されている「男たちの大和」の映画ロケセット(¥500)は日立造船の技術の粋を集め、制作費5億を投じて全長263mのうちの190mが再現された原寸大の戦艦大和である。残念ながら私の総統仲間であるデスラーが統治するガミラス星を破壊した波動砲は搭載されていないものの艦上には46cm主砲9門などが装備されており、観光客は艦上で「はい、ヤマト」との掛け声とともに記念撮影に興じていた。
大和のロケセットで沖田艦長の気分を満喫することに成功したので故宮川泰が奏でる宇宙戦艦大和のリズムに乗ってバスでしまなみ海道を縦断して四国の玄関今治に向かった。途中因島大橋でバスを乗り換える際に名物はっさくソフトを食った後、約2時間のバスの旅で今治駅に到着した。さらにローカルバスに乗り換え鈍った感性を磨きなおすために峡谷の景色が美しい鈍川温泉に向かった。
楽天トラベルに予約させておいた鈍川温泉カドヤ別荘の岩風呂に浸かり、すっかり戦闘態勢も解除されたので明日からの猪突猛進に備えるためしし鍋に舌鼓を打ちながら宍戸錠も是非しまなみに来るべきだと漠然と考えながら夜を過ごしていた。
3月19日(日)
朝起きると昨日異常発生していた無数のてんとう虫がサンバを踊りつかれたように便器で溺死している様子を確認してカドヤ別荘をチェックアウトすると再びバスで尾道への帰路へついた。途中因島大橋のインターでたこすみソフトを食った後、尾道を経由して昼過ぎに三菱重工の城下町である三原市に到着した。
三原市の須波という瀬戸内海沿岸部に最高濃度のミネラル含有量を誇るみはらし温泉という健康ランド系のファシリティが湯治客を集めているので瀬戸内海に浮かぶ島々をみはらしながら入湯するとともにWBC日韓戦第3ラウンドを大スクリーンで見物し、行儀の悪い子供を叱っている親とともに日本の勝利を祝しながら魂をサンディエゴに飛ばしていたのだった。
第二部
3月25日(土)
まるでタイムスリップしたかのように気がつくと羽田-岡山空港経由、岡山駅からJRに乗り快晴の尾道駅に午前11過ぎに到着していた。昼飯時も近くなったので、以前は何の変哲もない普通のラーメンがラーメン業界のプロモーションにより尾道ラーメンという冠をつけられてしまった麺類を多少豚の背油の浮きすぎが気になるのを我慢しながらすすりあげると、原田知世の幻影を求めておのみち映画資料館(¥500)に向かった。
資料館では期間限定で吉永さゆりの特集をやっており、いたるところに吉永さゆり主演の青春映画のポスターが貼られていたのはいいのだが、大林宣彦監督の「尾道三部作」に関する資料は薄っぺらいパンフレットの中に閉じ込められていたに過ぎなかったのたので、時をかける勢いで近隣のおのみち歴史資料館に場所を移し、尾道ゆかりの歴史的資料の見物にボ~ッと没頭することにした。
尾道観光案内地図によれば尾道にはおびただしいほどの坂道と古寺があるということなのでいくつかの古寺めぐりを敢行することにした。数ある古寺の中で頂点に君臨している千光寺にお参りするためにはロープウエイか徒歩で高台に這い上がる必要があるのだが、迷わず徒歩で登頂することにし、千光寺公園で瀬戸内名物みかんソフトを食いながら風光明媚な尾道の市街と遠くしまなみ海道の島々を見渡すことに成功した。
千光寺でこれ以上時をかけすぎると墓場に足を突っ込むことになるじじばば参拝集団をかわした後、下界に下り、西國寺の大草履がかかる仁王門をくぐり、重要文化財の金堂や三重塔を見物させていただいた。さらに歩を進めて聖徳太子の創建と伝えられ、足利尊氏ゆかりの寺として有名な浄土寺に侵入し、国宝の本堂、多宝塔のふもとで一昔前は口裂女と恐れられたものの花粉症の台頭により、今ではすっかり市民権を得た巨大なマスクをしたギャルとともに極楽浄土への道を祈ることに成功した。
浄土寺から米倉涼子が出現しそうな軽い「けものみち」を登ると浄土寺奥の院に到達し、さらにその上の標高178.8mの地点に展望台があったのでそこから尾道市内としまなみの島々や遠く四国山脈まで見渡しながら次回は桜満開のシーズンに来るべきだと考えていた。
先週訪問した三原市のみはらし温泉に夢の宿という宿泊ファシリティが併設されているのでそこの屋上の展望風呂から瀬戸内海を行き交う船を眺め、瀬戸内活魚専門店である魚三昧で名物タコ御膳を食いながらかけていった時を取り戻すべき若返りアクティビティにつとめることにした。
3月26日(日)
みはらし温泉のすぐそばにある「すなみ海浜公園」という夏は海水浴客でにぎわうであろう人工ビーチ的公園をスルーし、須波港からフェリーに乗り生口島の沢港へと上陸した。生口島は島自体が博物館や美術館のような状況であることを軽く確認した後、瀬戸田港から高速船で三原まで戻り、さらにJRで岡山へと向かった。
金沢の兼六園、水戸の偕楽園と並び日本三大庭園のひとつとして君臨している後楽園(¥350)が東京ドームの3~4倍の大きさながら東京ドームほどの集客力がないという状況を確認するために侵入することにした。正門近くの売店で白桃ソフトを食った後、園内の散策に乗り出すことにした。江戸時代を代表する大名庭園である後楽園は一面天然芝に覆われ、茶室や池、桜林や梅林等の見所があり、ちょうど見ごろを迎えた梅を背にして中国人観光客が記念写真の撮影に興じていた。
東京ドームと後楽園ホールの位置的関係を再現しているかのように後楽園を見下ろす位置に岡山城がそびえていたので再現された天守閣を見上げつつ、地中に埋まっている元々の石垣を見下ろし、時の移ろいのはかなさを感じながら山陽地区を後にしたのだった。
第三部完結編
4月1日(土)
東京の桜はすでに満開の時期を迎えており、日本を代表する桜の名所である尾道千光寺での桜吹雪を期待して今週も飛行機を飛ばして広島空港から尾道まで満を持してやってきた。尾道駅に到着して薄ら寒さを感じながらも千光寺へと続く階段を駆け上がると徐々に桜の木が見え始めたのだが、桜並木の大半を形成するソメイヨシノは未だにつぼみのままであったのだった!!
原田知世のようにその場で♪時をかける♪ことが出来れば満開の桜を目にすることが出来たのだろうが、遠山の金さんよろしく♪気前がよ~くて、二枚目♪な私に対してもついに桜吹雪は舞ってくれることはなかったのでしなだれた気分を引きずって下界に下りて宝土寺の枝垂桜の見物でお茶を濁しておいた。
尾道の路地には古き良き時代の日本の光景が残っており、その証拠に至る家屋に汲み取り式便所が残っており、バキュームカーがバキュバキュと糞便を吸い上げている光景を目にしながら先週同様西國寺、浄土寺の観光コースを散策した後、フェリーに乗って生口島の瀬戸田港に向かった。
島の高台の向上寺という古寺に国宝の三重塔がそびえているので軽くお参りした後、しまなみを代表する観光ファシリティである耕三寺博物館(\1,200)を訪れた。耕三寺は耕三寺耕三和上という成金系のおっさんがもともと母上の老後のために建てた豪邸をご母堂逝去に伴い大改築し、巨大な寺に仕立てあげたという昭和を代表する寺院である。寺院内のお堂や塔の数々は飛鳥~江戸時代にかけての代表的仏教建築の様式や手法をパクったものであるが、境内はマサに極楽浄土の雰囲気を醸しだしているのだ。
瀬戸田港から再びフェリーに乗り、大三島の井口港に上陸した。本日の宿泊地であり、楽天トラベルに予約させておいた富士見園は港近くに位置しており、早速チェックインしてかぶとの間という部屋にマジンガーZを操縦する兜こうじがパイルダーオンする要領で入室し、さらにまだ十分に沸きあがっていない塩風呂で長時間塩漬けにされた後、念願の食事の時間と相成った。
隅に追いやられたカラオケセットが侘しい大広間の食卓上にはおびただしい種類の瀬戸内海の魚介料理がところ狭しとならんでいた。さらに女将が白魚の踊り食いをオファーしてきたのでその施しを受けることにした。ワイングラスに佇んでいる生きた白魚にポン酢をかけるといきなり白魚がダンスを始めた。それらを一気に口に含むとダンシングクイーン(アバ)、ダンシングオールナイト(門田&ブラザーズ)、ダンシングヒーロー(荻野目洋子)のリズムが同時に奏でられ、♪今夜だけでもシンデ~レラボ~イ♪の感覚を味わいながら12時までの夜を過ごすことが出来たのであった。
4月2日(日)
白魚リズムで踊り狂った感覚を引きずりながら富士見園をチェックアウトし、小雨そぼ降る中バスで大山祗神社に向かった。日本総鎮守である大山祗神社には樹齢約2,600年の神木である大楠が鎮座しており、スギ花粉によるくすぐったい感覚を味わうことなく、参拝に励むことが出来る神社であることが確認された。
大三島の西岸に日本たばこを敵にまわしながら奮闘している伯方の塩製造工場があり、その横にマーレ・グラッシア大三島(\500)という海水を加熱した風呂を売り物にしている健康系のファシリティがあったので雨宿りついでに入湯しながら塩辛い気分を満喫することにした。
乗り間違えたバスにより到着した僻地から徒歩で多々羅大橋に向かう道すがら体内の余分な塩分調整を行い、道の駅「多々羅しまなみ公園」の絶景を見物した後、しまなみ高速バスで福山に向かった。十分に花見が出来なかった憂さをはらすために車内で福山雅(マサ!)治の桜坂を熱唱しようと思ったのだが、カラオケセットを完備していなかったので♪ウ~イェ~イ♪という捨て台詞を残して福山から岡山経由東京に戻り、夜桜の吹雪をあびながら尾道三部作を完結させることと相成ったのであった。
総飛行機代 \1,900 + \7,400 + \4,200
総JR代 \4,570
総バス代 \11,970
総フェリー代 \2,310
総宿泊費 \12,750(二食付き) + \7,350 + \10,000(二食付き)
協力 ANA、楽天トラベル、みはらし温泉(http://www.morikawakanko.com/)