裏の仕事の都合でアメリカとアイルランドの出張に赴くことになってしまったのだが、この機会を的確に捉えてFTBは短期間での世界一周を計画し、実行に移すことにした。
6月4日(金)
ANA006便にてロサンジェルスに到着し、そこからUA便に乗り換えて午後3時過ぎにフェニックスに到着した。空港から外に出るといきなり40℃以上の熱波に襲われてしまったのですかさずタクシーを捕まえて今日の宿泊先であるヒルトンフェニックスエアポートに向かった。ホテルでしばしくつろいだ後、路線バス($1.25)で適当に市内を彷徨い、ついにアリゾナ・ダイヤモンドバックスの本拠地であるバンクワン・ボールパークに到着した。
午後7時過ぎにプレーボールになっているはずのアリゾナ・ダイヤモンドバックス v.s. ロサンジェルス・ドジャースの試合に到着したのは2回の表にドジャーズが逆転をした時間帯であったのだが、2回以降の石井のピッチングをしかとこの目に焼き付けることに成功した。相変わらず制球の定まらない石井であったものの勝ち投手の権利を取得する5回までを3点に抑えることに成功し、そのまま打撃好調のドジャーズの追加点により期せずして石井は今季7勝目を手にすることが出来た。
6月5日(土)
マサよ、君は世界最大のサボテンを見たことがあるか!?
ということで全米第6位の都市かつアリゾナ州の州都であるフェニックスを後にしたFTBはアリゾナ州の旧都であるツーソンにある砂漠博物館($9)に向かった。アリゾナ州からメキシコ北部に広がるソノラ砂漠の特徴やしくみを学習することが出来る砂漠博物館はおびただしいほどのサボテンと砂漠に居住する動植物を拉致して見世物にして暴利をむさぼっているファシリティである。ここでは高温乾燥地で元気に生活している毒蜘蛛、毒さそり、毒ガラガラヘビや毒のないマウンテンライオン、プレイリードッグ、ブラックベア等が夏バテして動けなくなっている状況を垣間見ることが出来る。
アリゾナというと即サボテンというイメージを思い起こさせてしまうのだが、実際にはアリゾナ州北部は高地なのでサボテンが密集している地域はアリゾナ州南部になる。ツーソン近郊にサワロ国立公園という世界最大の巨大サボテンがにょきにょき生えている地域がある。最大4~5mの高さにも達するサワロは生後70年になると腕が生え、いかにもガッツポーズをしているようないでたちでサワロに触ろうとする観光客を威嚇しているように公園のあちこちに群生している。また、1回の雨で一年分の水分を蓄えることが出来るサワロはキツツキ系の鳥に穴をこじ開けられ、その穴は最終的にはフクロウの快適な居住空間になったりしているのだ。
アリゾナ州中部にCasa Grande Ruins($5)という昔昔アメリカ原住民が暮らしていた遺跡があるので立ち寄って見ることにした。砂漠の中に忽然と出現する土を固めて建設された建物を中心にした遺跡は数百年もの間、アリゾナの過酷な気候に耐えてきた威厳を漂わせており、冷房の効いたビジターセンターの中では当時のアメリカ原住民の暮らしぶりが詳細に解説されているのだ。
6月6日(日)
フラッグスタッフというグランドキャニオンのゲートシティになっている都市のMotel6をチェックアウトすると2000年1月以来、約4年ぶりにグランドキャニオン国立公園($20.-/car)に立ち向かうことにした。
マサよ、君は数あるグランドキャニオンの展望ポイントの中で一番すばらしいポイントはどこか知っているか!?
ということで、南ゲートから侵入してしばらく山道を走るとマーサーポイントという誰もが初めてグランドキャニオンの圧倒される景色に遭遇し、人生観を変えられてしまうポイントに到着した。人々からよくグランドキャニオンで一番すばらしい景色はいつどこで見れるのかという質問を耳にするが、それは初めてグランドキャニオンを見た瞬間に他ならないのである。マーサーポイントの近くに4年前には存在しなかったインテリジェントなビジターセンターとブックショップが開業されており、ここでグランドキャニオンのすべての情報を一手に入手することが出来るようになっている。
グランドキャニオンビレッジに車を停めて園内のシャトルバスで公園の西側のビューポイントを巡りながら、終点のハーミッツ・レストに向かった。このルートにあるビューポイントからはコロラド川の眺望が堪能出来るのだが、前回見たウーロン茶色ではなく、今回は蛇行して流れる深いブルーのコロラド川をいろいろな角度から眺めることが出来た。グランドキャニオンサウスリムの東側の終点にデザートビューが君臨している。古いインディアンの壁画をあしらったウォッチタワーから東側に目を向けるとマサに砂漠のかなたの山々とキャニオンの起点を思わせるコロラド川の源流を見ることが出来るのだ。
夕暮れ時にマサとは比べ物にならないマーサーポイントに戻りサンセットを待っていた。西日がどんどん傾いていくに従ってキャニオンのグラデーションが深くなり、段々と鮮やかに赤みを増していく様子はこの世のものとは思えないほどすばらしい眺望であったため、世界中から参集した観光客たちはみんなため息まじりにシャッターを切りまくっていたのだった。
6月7日(月)
昨夜グランドキャニオンでサンセットを堪能した後、そそくさと車を飛ばして一路灼熱のラスベガスに到着したのは深夜になってしまっていたため、おとなしくMotel6に引き払い、今日はラスベガスからシカゴ経由ボストン行きの機中の人として一日を過ごすこととなった。
6月8日(火)~6月10日(木)
ボストン近郊のオフィスにて裏の仕事に精を出す毎日を送っていた。
6月11日(金)
マサよ、君はJFKの生家にお邪魔したことがあるか!?
ということで、地元のハーバード大学を優秀な成績で卒業した実績を持つJFKの生家($3)がNational Park Serviceの管理下でボストン近郊のBrooklineに一般家庭的ないでたちで保護されていたので見物に行ってきた。地上2階、地下1階建ての住宅はパークレンジャーのツアーでのみ案内されることになっており、この家で行われたJFKに対する英才教育の様子が垣間見れるようなダイニングルームや書斎、ベッドルーム、客室を巡りながら、観光客はJFKの生い立ちの秘密を暴くことが出来るようになっている。
ボストンダウンタウンのノースエンドからチャールズ川対岸のNavy Yardにかけての地域はBoston National HistricParkに指定されている歴史的地区でありBoston’s Freedom Trailという京都の哲学の道に匹敵する散歩道が展開されているのでぶらぶらしてみることにした。ここでの見所としてボストンの歴史を知る上での重要な資料が展示されているOld State House($5)や日本におけるキリンビールの祖として有名な樹木希林!?に匹敵するサミュエル・アダムス像が見守るQuincy Market等がある。
ボストン・レッドソックスの本拠地であるフェンウエイパークに野茂、石井率いるロサンジェルス・ドジャースがやって来たので$70の大枚をはたいていい席を確保することにした。午後7時過ぎに始まったゲームは投手戦の様相を呈し、淡々としたペースで進み、ボストンリードの1対0で迎えた9回の表のドジャーズの攻撃も2アウトランナー2塁と追い込まれていた。次打者の打球は高いレフトフライで試合終了かと思われた瞬間、マニー・ラミレス左翼手の落球により試合は1対1のタイスコアになってしまった。この落球のおかげで9回裏を迎えたボストンの執拗な攻撃により、レッドソックスは見事サヨナラ勝ちを収め、球場は歓喜の渦に包まれていた。
6月12日(土)
午前中にボストンからニューヨークに飛び、ラガーディア空港で真紅のマスタングをレンタルすると早速ロウアーマンハッタンに向かった。自由の女神行きのフェリーが就航しているバッテリーパークの中にキャッスル・クリントンという砦があるので軽く見学し、ウォールストリートを歩いて金儲けを誓った後、恒例のヤンキー・スタジアムに向かうことにした。午後4時という中途半端な時間にプレーボールとなったヤンキースとサンディエゴ・パドレス戦はゴジラの強打が爆発することもない平凡な試合で結局3対2でヤンキースがパドレスを下してしまったのだった。
昨日訪問したはずのJFKの生家から今日は気がつくとJFK空港でロンドン行きの飛行機を待っていた。JFK空港はいつのまにかモノレールシステムが発達しており、各ターミナル間を無人のモノレールが我が物顔で走り回っていた。午後9時35分発ロンドン行きのUA便は定刻どおりに出発し、一週間で横断してしまった北アメリカ大陸を後にしてついにヨーロッパに乗り出すこととなったのであった。
6月13日(日)
日付が変わって日曜日の午前中にロンドンヒースロー空港に到着した。ここからターミナル間を移動してブリティッシュミッドランド航空に乗り換えてアイルランドの首都ダブリンに向かった。午後2時半ごろダブリンに到着するとそのままタクシーで市の中心部であるCity Centerで最も格調高いウエスティンホテルにチェックインし、この日はダブリンの中心部であるテンプルバーを散策したりしてのんびりとしたひと時を過ごしていた。
6月16日(水)
月曜、火曜と適当に裏の仕事をこなした後、今日は午前中の内にダブリンを後にしてロンドンに向かった。ヒースロー空港から地下鉄でBritish Railwayのウォータールー駅を経由してグリニッジに向かった。
マサよ、君は世界標準時を刻む時計の目の前で西半球と東半球を跨いだことがあるか!?
ということでロンドンダウンタウン西わずか10kmほどのテムズ川沿岸のグリニッジパーク(世界遺産)はロンドンを代表する観光地の様相を呈しており、ここにはウイスキー系の船であるカティ・サークが陸揚げ状態で展示されていたり、National Maritime Musiumには7つの海を制覇した大英帝国の栄華をダイジェストで学習出来る数多くの展示品やネルソン提督にまつわるコーナーや♪ようこそここへ♪というようないでたちのキャプテン・クックのコーナー等が充実しているのだ。
ミュージアムからきれいに整備された芝生で覆われた公園の坂道を駆け上がるとRoyal Observatory Greenwichに到達する。そ~、ここがいわずと知れた世界標準時のお膝元であるグリニッジ展望台である。ここには東半球と西半球を分ける子午線がきっちりと引かれており、観光客はそのモニュメントの前で記念写真を撮りながら皆悦に入ることとなる。また、現在は使用されていない展望台は博物館になっており、正確に時を刻んでくれそうな数多くの振り子時計や各種測定器、高級望遠鏡等が所狭しと展示されている。
ANA202便にてロンドンより帰国
協力 Star Alliance, Motel6, ハーツレンタカー、Symantec Corporation