マサよ、君は日本で最初に新婚旅行を成し遂げた翔んだカップルを知っているか!?
5月22日(土)
ということで、早朝7:10発ANA619便、鹿児島行きは強い向かい風の影響を受けて定刻よりやや遅れて午前9:00頃に鹿児島空港に到着した。空港から林田バス(¥650)にてあらかじめ予約しておいた霧島いわさきホテルに到着したのは10時前でチェックインには程遠い時間であったため、10:15発の霧島・えびの高原周遊バスに乗り込み、昭和9年に日本で最初に国立公園に制定された霧島連山の散策に乗り出すことにした。
南九州一帯を取り仕切る林田バスが運行する霧島・えびの高原周遊バス左まわりは霧島いわさきホテルを出ると硫黄の煙がもうもうと上がっている硫黄谷や豪快に水しぶきをあげる丸尾滝、霧島神宮、高千穂牧場等、当地の観光スポットを順繰りに回り、樹帯トンネルという赤松をはじめとした雑木林の原生林を抜けると高千穂河原という場所に到着したのでここでバスを降りることにした。
日本有数のアルピニストである私は高千穂河原ビジターセンターで近隣の山々の登山、トレッキング情報をすばやく入手した後、早速神々が舞い降りると言う高千穂峰(1574m)の頂上を目指すことにした。5月~6月が見ごろであるミヤマキリシマが咲き乱れる林を抜けると段々と傾斜が急になり、足元には火山特有の石がごろごろして登山者の体力を否応なしに奪っていく。45度の傾斜をしばらく登ると火山ガスを噴出している御鉢という火口に到着し、見上げると高千穂峰はさらに高いところに位置していたので最後の力を振り絞って合計1時間半ほどの時間をかけてとうとう高千穂峰の頂上に到着した。天孫降臨の山として知られる高千穂峰の頂上に天逆鉾という剣が突き刺さっており、絶好の記念写真ポイント兼礼拝スポットとなっているのだが、「竜馬がゆく」に言わせると新婚旅行でここを訪れた坂本竜馬はなんとこの霊験あらたかな天逆鉾を抜いて喜んでいたと言うではないか!また、頂上では「イチ足すイチは・・・」 「ニー」という掛け声で恥ずかしげもなく記念写真を撮っている強者団体ハイカーまで存在していやがった。
登山者の約40%が滑って転んでいる状況を目の当たりにしながら急な斜面を一気に駆け下りて高千穂河原まで戻ると再び林田バスに乗り、えびの高原に向かった。標高1200mのえびの高原はキャンプ場やビジターセンター、ドライブイン等で賑わっており、霧島連山の最高峰の韓国岳(1700m)の登山口にもなっているのだが、その辺を散歩しているニホンジカには決してえさをあたえてはならぬよう釘をさされているのだった。
いわさきコーポレーションが総力を上げて買収した林田旅館は現在霧島いわさきホテルhttp://kirishima.iwasakihotels.com/に成り代わっているのだが、5時過ぎにチェックインすると早速霧島で1,2位を争う林田温泉、御山の湯に入湯させていただくことにした。林の中に忽然と存在する露天風呂はあつい溶岩風呂とぬるい湯、うたせ湯、サウナ、水風呂等バラエティ豊かである上、サンデッキからは遠く鹿児島空港、桜島、開聞岳の眺望を堪能することが出来る作りになっている。また、風呂の底にたまっている沈殿物は湯の花なので気にすることなくボケ~と殿様気分に浸れるのだ。
霧島いわさきホテルの地下にある林田温泉の入り口に林田熊一の銅像が奉られているのだが、彼こそ林田温泉を開発し、霧島を日本有数の観光地に成り上がらせた立役者だとの説明が誇らしげに彫られてあった。
5月23日(日)
霧島いわさきホテル新館の最上階である9階のテラスから差し込んでくる朝日で早朝6時ごろ目を覚ますと早速御山の湯で覚醒し、さらに朝飯で腹ごしらえを済ませると林田バスで霧島神宮を目指した。今からさかのぼること10年前、私が株式会社京セラ、ファインセラミック事業本部 海外営業部 産機課 産機係で活躍していたころ外人接待で夜中に霧島神宮を訪れた時は日もとっぷり暮れた時間帯であったため、実質今回初めて霧島神宮の全貌が明かされることとなった。平成元年5月19日に国の重要文化財に指定された霧島神宮はもともとは高千穂峰、高千穂河原に君臨していたのだが、霧島山の2度の火山噴火により消失してしまったため、1484年に現在の場所に建てられたそうだ。ここには絢爛たる朱塗の本殿、拝殿、登廊下、勅使殿等、その配置の妙を得て宏大で壮麗な美しさを醸し出している。
林田バス丸尾バス停で下車すると霧島を代表する幅25m、高さ20mの丸尾滝に遭遇する。さすがに温泉地帯に存在する滝だけあって滝壺は温泉色に彩られており、あたりはほのかに硫黄泉の香りがただよっていた。
1867年(慶応3年)に伏見寺田屋にて急襲され、深手を負った坂本竜馬はマブダチの西郷隆盛の勧めで新妻おりょうとともに薩摩を旅行したことが新婚旅行の走りといわれているのは日本人では知らない人はいないであろう。その際、湯治のために訪れた塩浸温泉(¥250)鶴の湯http://www.asahi-net.or.jp/~ck4t-hri/kydo/kydo/shiohitari.htmがいまだにしなびた温泉のいでたちでひっそりと存在していたので空港に帰る道すがらひと風呂浴びてみることにした。日本最強クラスの温泉街である霧島温泉の蒼々たる露天風呂群とは異なり、施設もエンターテイメントも交通の便も悪い塩浸温泉ではあるが、坂本竜馬がたどった旅情にどっぷりと浸ることが出来る最高の場所ではないかと思われたのだった。
FTBサマリー
総飛行機代 ¥2,600
総宿泊費 ¥20,153(2食付)
総バス代 ¥3,090
協力 ANA、林田バス、いわさきホテルズ