♪冒険の海だ~ 船出だぁ~ 風が呼ぶ 行く手に待つのは~ 怪獣? ギャング? 宇宙人? マジックベルト マジックベルト 締めて立つ 冒険 少年 シ~ンドバッド ♪ (アラビアンナイト・シンドバッドの冒険主題歌)
ということで、小林旭をも凌ぐ♪ある時 ニヒルな渡り鳥♪として世界中を股にかけ、ピンク・レディ系のダンシングギャルに♪盗んだ こころ 返せ♪とウォンテッドされている私は♪ある時 アラブの大富豪♪に成り上がり、将来本当にウォンテッドされるかも知れないマサの保釈金をオイルマネーで稼ぐノウハウを身につけるためにアラブ首長国連邦のドバイまで羽をのばすことにした。
3月19日(水)
午後6時40分発のNH911便で香港まで飛び、さらにキャセイパシフィック航空のCX745便、A330機に乗り換えると機上で長い夜を明かすことになったのだ。
3月20日(木)
9時間以上の長時間のフライトで夜もまだ明け切らない早朝5時過ぎにドバイ国際空港に到着した。24時間空港のドバイ国際空港ではフライトの合間にここで夜を明かしたであろう多くのトラベラーがホームレスのごとく床に体を横たえており、そんじょそこらのショッピングセンターでは太刀打ち出来ないほどの免税品店群が彼らをむげに見下ろしている光景が対照的だった。
ゲートから長い動く歩道を経てイミグレーションに到着するとそこにはおびただしい数の入国希望者が列をなしていた。1時間程並ぶとやっと私の番になったのでアラブ服の入国管理官にパスポートを提出すると彼は入国目的や滞在期間等の質問をする代わりにトヨタのアリストという車を知っているか?という質問をしてきやがった。また、俺はアリストの他にGT-Rを2台持っているぜ!等の金持ち自慢話さえ繰り広げられたのだった。そ~か?入国審査の列が遅々として進まないのは入国者がすべて成金のたわごとを聞かされるためだったのかと納得させられてしまった。
何とかアラブ首長国連邦への入国を果たすと空港バス(AED3.-)でドバイの市街地に向かった。ドバイ発展の礎となった入り江であるドバイ・クリークの入り口近くのゴールド・スークでバスを降りるとまだまだこの地域が恐るべき発展を控えていることを確信させるウォーターフロントの開発の様子が目に飛び込んできた。地下トンネルを使ってクリークの対岸に侵入し、そこから整備された遊歩道を歩いていると思ったよりきれいで透明な水面に向かって釣り糸を垂らしている原住民やクリークを行き来する数多くの船が徐々にアラブの旅情を掻き立ててくれた。
ドバイの中心であるバール・ドバイ地区のまだ空いていないお店の前に借りてきた風情の猫が佇んでいたのだが奴らはペルシャ猫ではなかった。対岸の高層ビルを見渡しながらさらにクリークの奥に向かって歩いていると緑のまぶしい芝生地帯が出現し、椰子の木陰で原住民がのんきに涼を取っていた。さらに道路のターンアラウンドには華麗な花時計まで咲き誇っていた。
とりあえず、ドバイの歴史を手っ取り早く学習するためにドバイ博物館(AED3.-)に入館させていただくことにした。18世紀~19世紀に建造された砦と伝統的なダウ船が目印になっているドバイ博物館の展示品は紀元前5000年~8世紀の発掘品や風通しのよいヤシの家や装飾品、真珠養殖のための小道具であるのだが、ドバイの歴史をまとめた映像を大型スクリーンで見ることが出来るエリアではわずか30年でいかにドバイが発展してきたかをダイジェストで思い知ることが出来るのだ。
アラブの強い日差しの中をすでに長時間歩いてきたので正午過ぎには予約しておいたダ・アル・ソンドスホテルアパートメント・バイ・ル・メリディアンにそそくさと引き込むことにした。ホテルの部屋で意識を取り戻すとすでに夜のとばりがおりており、これ以上日差しを浴びる危険性がないことが保障され、また夜中にドバイを歩いてもヤバイことにはならないと聞いていたのでクリークのオールド・スークまで足を運び衣類等の繊維製品を見ながら市場を散策した。ドバイの歴史的建造物を保護している遺産地区であるバスタキヤ地区はきれいにライトアップされており、ドバイの夜景を見事に彩っていた。通常であれば、夜もすっかり更けた時間にシンドバッドに扮してアラビアンナイトの冒険を満喫するところであるが、今晩は寝不足と時差ぼけのため、既にシンドイバッドになってしまっていたのでホテルに帰ってとっとと不貞寝を決め込まざるを得なかったのだった。
3月21日(金)
一般的にUAEとしてならしているアラブ首長国連邦の本名はUnited Arab Emiratesというのだが、7つの首長国を取り仕切り首都として君臨しているのはアブダビだということなので、バス(AED15)で2時間かけて行ってみることにした。バスターミナルから片道5車線の広大な道路を北東に向かって歩いていると近代的高層ビルの合間にモスクが控えめに佇んでいる様子が見て取れる。しかし、お祈りの時間になるとそこからコーランが大音響で流れてくるシステムになっているのだ。
4km程歩くと急に視界が開け、そこにこれでもかというぐらいの真っ青な海が現れた。アラビア湾というと石油採掘のイメージからよどんだ印象を受けるかも知れないが実態はこれまでFTBが目にしたどの海よりも強いマリンブルーを放っているのだった。ビーチ沿いには美しい遊歩道が何キロにもわたって整備されており、対岸の島の砂浜ではのんきにビーチでくつろいでいる観光客の姿も遠目に見て取れた。
遊歩道をさらに東に向かって歩き、パブリックビーチのオブジェやヒルトンのプライベートビーチの賑わいを横目に見ていると目の前に豪華な宮殿の姿が現れた。上品なピンクの外壁に包まれたエミレーツ・パレスは2005年にオープンした豪奢なリゾートホテルであり、アブダビのランドマークとしてその地位を確立しているのだった。警備の厳しいエミレーツ・パレスを迂回し、橋を渡ってマリーナ・モールというビーチ沿いの大型ショッピングセンターにたどり着き、そこで涼を取ることにした。広々としたマリーナ・モールの内部は数多くのブランド屋の出店とともに競技用ボートやF1カーさえ展示されており、石油成金アラブの国力の一端を垣間見ることも出来るのだった。
夕暮れ時にアブダビ交通バスでドバイに帰る途中でバスがガソリンスタンドに寄ったので何だろうと思っていたが、何とバスが故障し代わりのバスを待たなければならないという事態に陥ってしまったのだが、その一連のトラブルの中で何の説明もアナウンスも謝罪もなされなかった。しかし、大物アラブ居住者達は誰一人文句さえ言わなかったのだ!
3月22日(土)
♪朝も早よからせっせとせっせとヘアーの乱れを整え♪た後、ホテルをチェックアウトするとドバイ博物館の前で観光スポットやショッピングセンターを効率よく回るためにThe Big Bus Companyのダブルデッカー観光バス(AED175.-)に乗り込んだ。観光バスは2つのラインから成っており、レッドラインはドバイクリークの周辺を回るルートでブルーラインはジュメイラ地区という高級リゾート地帯を走っているのだ。まず手始めにレッドラインに乗り込み、テキスタイルロードと呼ばれる繊維の問屋街を抜け、クリークを横断するトンネルを通り、ゴールド・スークを横目にしながらシティ・センターというショッピングセンターに到着した。
マサよ、君は世界中のホテルのランクを凌駕した☆☆☆☆☆☆☆ホテルがドバイに君臨しているという驚愕の事実に直面したことがあるか!?
ということで、シティ・センターでブルーラインに乗り換えるとバスはジュメイラ・ビーチ沿いのさわやかな風を受けながら西に向かってスピードを増して行った。ジュメイラ・パブリック・ビーチでバスを降りると目の前に広がっている光景はまっ白い砂浜と真っ青なアラビア湾のコントラストであった。早速♪ビキニがとってもお似合いですと肩など抱いて♪いる渚のシンドバッドを探したのだが見つけることが出来なかったのでふと天を仰ぐとそこにはパリのエッフェル塔よりも高くホテルとしては世界一の高さを誇るバージュ・アル・アラブが奇抜なデザインでそびえていたのだった。
ジュメイラ・パブリック・ビーチから徒歩でスーク・マディナ・ジュメイラまで移動した。ここの見所は敷地内にある3つの高級ホテルが全長3.5kmのクリークで結ばれ何艘ものアブラ(渡し舟)が宿泊客を乗せて行き交い、しかもバージュ・アル・アラブを見上げることが出来る絶好の風景を提供していることである。スーク自体はアンティークを中心にした品揃えになっており、アラジン系の魔法のランプでも購入しようという衝動に駆られたのだが、♪完全無欠のロックンローラー♪(http://www.youtube.com/watch?v=_O4ligLq9ss)が出てくると取り返しのつかない一発屋で終わってしまうことを恐れて控えておいた。
マサよ、君は魔法のランプで出現させたものは砂漠のスキー場に他ならないという奇跡に遭遇したことがあるか!?
というわけで、再びブルーラインに乗り込むとワールドクラスショッピングを自認するドバイで最大級のショッピングセンターであるモール・オブ・ジ・エミレーツに向かった。バスを降りると上空に巨大な傾斜を持つ建造物が覆いかぶさるように観光客を圧倒しており、一歩中に入るとそこはブランド物の見本市と化していた。しかしながら、やはりここでの最大のハイライトはスキードバイであり、人口雪で覆われたリフト付きのゲレンデをガラス越しに覗いているとここが本当に砂漠地帯であることを忘れさせてくれるのだった。
ドバイのメインストリートはマサに高層ビルの見本市の様相を呈していた。現在のドバイは建設ラッシュで世界中の3分の1の建築用のクレーンがドバイに集まっていると言われている。その中の最高峰としてひときわ存在感があるのがバージュ・ドバイという完成後の高さが800mを越える世界一のビルである。また、ドバイは海を埋め立てた人工島の建設も佳境に入っており、完成するとドバイの海岸線が580kmも増えてしまうのだ。
古代エジプトをモチーフにしたショッピング・モールがワフィ・シティに君臨しているので見物することにした。ここには主に高級ブティックの出店が見られるのだが、見所はモール内部のステンド・グラスやピラミッド等の模擬古代建造物である。尚、ピラミッドの正体はラッフルズホテルであったのだ。
Big Busツアーにはダウ船クルーズもセットになっているので、夕方5時半からのクルーズに参加させていただくことにした。木造のダウ船は満員の乗客を乗せ、港を出るとクリーク内のゆっくりとした制限速度を守りながら進んでいった。アブラと言われる水上タクシーと何艘もすれ違い、クリーク両岸の建造物を眺めていると日も暮れかかり、アラブ最後の旅情を演出してくれたのだった。
クルーズも終了し、日も暮れてしまったのだが、スパイスの香りに引き寄せられるようにデイラ・オールド・スークに舞い込んだ。欧米人と一緒によりどりみどりのスパイスを物色した後、その勢いを買って買う気もないのにゴールド・スークまで足を伸ばした。ゴールドが眩いばかりの光を放っている店先にはフラッシュをオフにして記念撮影に興じたりする欧米人や真剣に金の価値を見極めようとする原住民で独特の人間模様を醸しだしていた。
真珠採取の歴史を今に伝えるダイビング・ビレッジとかつてのドバイの様子がわかるヘリテージ・ビレッジをちら見した後、インド料理屋で魚カレーを食い、空港に帰るべくローカルの空港バスに乗り込んだ。通常であれば30分程度で着くはずなのに1時間以上かかっても空港のきらびやかなファシリティが姿を現さないのでおかしいなぁと思っていたが、終点で降ろされとんでもない僻地に来てしまったことが発覚した。辺りはアリババと40人の盗賊が出てきそうな雰囲気の寂しさだったのでこのままここの砂に埋もれてしまう恐怖心に駆られてしまったが、アラビアンナイトが提供する最後の魔法でタクシーを止めて何とかチェックインがクローズするぎりぎりの時間で空港に到着することに成功した。
3月23日(日)
午前1時15分のCX738便で午後12時半頃香港に到着し、魔法の名残でビジネスクラスにアップグレードされたNH910 に午後3時半に乗り込むと8時過ぎに成田に到着し、盗賊の嫌疑をかけられることなく再入国を果たしそのまま流れ解散。
FTBサマリー
総飛行機代 ANA = \41,280, キャセイパシフィック = HK$6,856
総宿泊費 AED1,560 (AED1 = \26)
総バス代 AED37.5
総タクシー代(チップ込み)AED50
協力
ANA、キャセイパシフィック航空、STARWOOD、bigbustours.com (http://www.bigbustours.com/eng/dubai/default.aspx)