FTBJがんばるぞ!みちのくツアー(岩手、宮城)

震災から2ヶ月が経過したにもかかわらず、みちのくから足が遠のいてしまっており、非常に心苦しい思いをしてきた今日この頃である。また、みちのく成金であるはずの山本讓二が救済の表舞台に出てこないことにも一抹の寂しさを覚えたため、ポストゴールデンウイークのこの時期にあらためてみちのくのすばらしさを伝えるためにひとりたびに出ることにした。

2011年5月8日(日)

高速料金の休日割引の恩恵をキープするためにTBS開局60周年記念 日曜劇場「JIN -仁-」が終了した午後10時過ぎに家を出ると日付が変わる前に東北自動車道に入り、とある埼玉県のサービスエリアに停泊したでありんした。今日は深夜の高速走行を避けるために車の中に常備してある寝袋に宿泊することとした。

5月9日(月)

早朝寝袋をチェックアウトすると東北道を北にひた走っていた。福島県に差し掛かった頃からだろうか、次々と出現した地震の影響で痛んだ道路を補修した跡が私の股間を刺激し、東北道は連続したチンサムロードと化しているようだった。要所要所で休憩を取ったサービスエリアでは災害派遣されている自衛隊の車両が停泊しており、迷彩服を着こなした隊員たちが束の間の休息を取られていた。前沢牛で有名な前沢SAでは前沢牛のコロッケ、ハンバーガー。串焼き、タン塩等が高値で売られており、私もユッケがあれば大金をつぎ込んで食してみようと思っていたのだが、ベロ毒素が人間を妖怪人間ベム、ベラ、ベロに貶めるのを恐れてか、販売されていなかったので断念した。

水沢インターで一般道に下り、のどかな田舎道を走っているとそこら中の桜が未だに満開の余韻を残している光景が目に飛び込んできた。いつの間にか昔話で有名な遠野に迷い込んでいたので道の駅遠野風の丘で風に吹かれながら休憩を取ることにした。あたりには復興支援でめざましい活躍を見せる自衛隊に対する感謝の意を表明する看板が数多く掲げられているのだが、幸いにも「菅直人このやろう!」というような政府への批判は慎まれているようだった。

道の駅で遠野の観光情報を入手すると最大の見所であるはずのカッパ淵に向かった。常堅寺という寺の裏を流れる小川の淵にこれ見よがしにきゅうりをインストールした釣竿がしかけられており、いかにもここにカッパがいるという装いがなされていた。とりあえず♪き~ざくら~♪と声をかけたが、反応がなかったので、この場所は「河童」というへたくそな映画を製作して大赤字に陥り、やむなく米米クラブを復活させざるを得なかったカールスモーキー石井竜也の怨念に汚染されていることが懸念されたのでやむなく撤収となった。

遠野地方の農家のかつての暮らしぶりを再現し、国の重要文化財である曲り家「菊池家」を展示している伝承園(\310)に入園してみることにした。まず最初に遠野物語の話者「佐々木喜善記念館」に入館し、民話の帝王柳田國男との交流の歴史を学習した後、旧菊池家の内見をさせていただいた。家内の調度品はカッパにかっぱらわれることなく現役当時そのままの様子で保存されており、みちのくの昔の暮らしぶりを思い描くことが出来るようになっていた。

遠野から遠のくにしたがって、今日の宿泊先である花巻南温泉峡に近づいていった。楽天トラベルに予約させておいた新鉛温泉の愛隣館にチェックインすると早速当館自慢の温泉に入ることにした。地階の温泉に向かう道すがら、このホテルが「火曜サスペンス劇場」のロケに使用され、サスペンスの女王片平なぎさも宿泊したことのある歴史的価値を見出してしまった。川の湯と命名された川沿いの眺望がすばらしい温泉で長いドライブの疲労を一掃すると岩手牛をメインにした夕食に舌鼓を打ちながら一日も早い東北の復興を祈っておいた。

5月10日(火)

GW直後にもかかわらず、片平なぎさ効果でそれなりの集客力を誇っている愛隣館を出立する際に地元の祭り和服に身を包んだめんこい系のギャルに車が見えなくなるまで手を振って見送られたので、片平に依存することなくリピーターが付くであろうことを確信し、新鉛温泉を後にした。

震災の影響が大きくない岩手の内陸部から南に向かい、昼過ぎに宮城県塩釜市に到着した。日本を代表する漁港である塩釜は壮絶な津波による被害からの復興を目指しているものの、被災した倉庫や打ち上げられた船等を目の当たりにすると道のりはまだまだ険しいものであると思われた。

復興への祈願のために塩釜市の高台にある塩釜神社にお参りに行くことにした。ここには日本各地から集められた桜の木々が見事な花を咲かせており、初穂料 金八百円を支払って「今年もうまくいく御守」を購入すれば復興の一助になるのではないかと思って謹んで購入させていただいた。

塩釜神社から下山し、GWから再開しているマリンゲート塩釜から16時30分発災害復興臨時船に乗り込んだ。尚、災害復興ということで船賃は無料となっているのだが、乗客はほとんど地元民か復興系の方々だったので観光客代表の私が乗船するのは憚られる気がした。

25分程の船旅で松島の絶景を形成する浦戸諸島を代表する桂島に上陸したのだが、港が70cm程陥没しており、満潮になると浸水の脅威にさらされることが軽のバンで迎えに来たペンション鬼ヶ浜の主人より告げられた。

港からペンションに向かう道のりはマサに戦争の跡のようで、なぎ倒された松林や基礎から引き剥がされて流された家が最後にはひっくり返って無残な瓦礫と化していた。

標高22mの高台に位置するペンション鬼ヶ浜はかろうじて被害を免れ、4月29日に営業を再開したものの、奥様はまだ喪に服している様子で黒系の服をお召しになっていた。離島の桂島は震災後に電気、水道等のライフラインが復旧するまでに1ヶ月程かかったとのことでその間の生活は大変な苦労をなされたものと推察されたので通常は飲まない宮城の地酒を痛飲し、再開に漕ぎ付けた努力に敬意を表しておいた。

5月11日(水)

楽天トラベルの松島、塩釜地区の宿泊検索で唯一ヒットしたペンション鬼ヶ浜をチェックアウトすると津波さえ来なければ風光明媚であるはずの島の散策をすることにした。

夏には海水浴客で賑わいを見せるはずの鬼ヶ浜の公衆便所は崩壊し、浜辺にはヨット、漁船やコンテナが打ち上げられていた。また、浜辺に座り込んでいたおじさんはただなすすべもなく遠くの海を眺めていたのだった。

9時50分発の塩釜港行き臨時船に乗り込み、松島湾の絶景と壊滅した沿岸部のコントラストを呆然と眺めていると港に到着した。気を取り直してマリンゲート塩釜で開催されている復興市場に乗り込み、磯じまん系のり佃煮を1つ購入しようとしたのだが、おばちゃんの営業がアグレッシブで3個買うと割引になるという甘いささやきに負け、ノリで3個も買い込んでしまった。

塩釜から松島までは10km程度の距離なので早速松島に向かったのだが、その先の奥松島の状況がどうなっているのか気になったので沿岸部を走り続けているといつの間にか壊滅的な被害を受けた東松島に入り込んでいた。震災から2ヶ月経過しているとはいえ、この地区では自衛隊による行方不明者の必死の捜索が続けられており、鉄道路線の復旧にもさらなる時間がかかるものと思われた。

一方、松島ではすでに観光船が復活しており、GW後ということでまばらであったが、観光客も戻ってきていたので私も¥1400を支払って松島湾内を一周する仁王丸に乗り込んだ。幸いにも松島湾は奇跡的に松尾芭蕉が句を詠んだ頃からの絶景を保っており、観光客さえ戻ればV字回復を達成するのも可能ではないかと思われた。

松島海岸沿いに林立する観光土産物屋は未だに回復途上の店も多く、地震・津波の警告看板も震災後に設置されたような不自然な新しさが目だったのも事実であるが、ここ松島が三陸地区復興の起爆剤としていち早く立ち上がっているので何とか外国人観光客をおびき寄せなければならないのだ。

マサよ、君は今秋巨人と日本シリーズを戦う予定の野球チームをいち早く偵察に行ったことがあるか!?・・・行ってくれ!!!

というわけで、観光客の受入れ態勢が復活している松島を後にして仙台市内に移動したのだが、激震地の仙台では道路の損傷がひどいようであらゆる場所で工事が行われていた。東北楽天イーグルスの本拠地であるKスタ宮城(日本製紙クリネックス・スタジアム宮城)は吹けば飛ぶようなティッシュペーパーのような脆弱なスタジアムではなく十分な震災対策がなされているので安心して野球見物をして日ごろの鬱憤を晴らすことが出来るのだ。

チケットの当日券売り場でお得な席を物色していると何の変哲も無い主婦に声をかけられ、家族4人分のチケットを購入したのだが、夫が仕事の都合で来れなくなったのでそのチケットを購入しないかというディールを持ちかけられた。東北人は見つめあうと素直におしゃべり出来ないシャイな人間が多いと思っていたのだが、ダフ屋でもないこの主婦の損失を抑えようとする懸命な姿勢に心を打たれたので定価でチケットを引き取ってあげることにした。

11,515人もの大観衆で膨れ上がったKスタ宮城で開催された東北楽天イーグルス対北海道日本ハムファイターズの熱戦は日ハムの5番DH稲葉が顔面すれすれの危険球をイナバウアーでよけるようなエキサイティングな場面もなく両チーム無得点のまま淡々と進んで行った。試合が動いたのはスポンサーの銀だこが楽天が点を取れば球場内のたこ焼きを¥100引きで提供し、さらに翌日の東北地方の銀だこのたこ焼きがすべて¥100引きになるとアナウンスされた7回裏の楽天の攻撃であった。たこ焼き好きであるはずの楽天キャプテンの鉄平が振りぬいた打球は東北のたこ焼きファンの夢を乗せてライトスタンドの最前列に飛び込み、これが決勝点となって見事に楽天が勝利を収めたのであった。

FTBサマリー

総ガソリン代 ¥10,867

総高速代 ¥6,000

総宿泊費 ¥15,500(2食付)

協力 楽天トラベル、楽天ゴールデンイーグルス、塩釜市営汽船

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