中国最強リゾート 東洋のハワイ三亜with三国志

欧米各地でのイスラム国による度重なるテロ行為により、年末年始の海外旅行を控えるべきではないかと考えもしたのだが、テロとは縁遠い旅行先を探しているうちに中国が土俵に上がってきた。しかし、中国でも大気汚染やガス爆発、土砂崩れ等、問題のある地域は多いのだが、南シナ海に面する海南島の最南端にハワイに匹敵するリゾート地が君臨しているというではないか。今回は中国最強のリゾートである三亜に進出し、爆買人民がどのようなバカンスを過ごしているのかを確かめるツアーを催行することになったのだが、決してハワイまで行く資金が不足していたのではないことをあらかじめ申し伝えておかなければならないだろう。

12月29日(火)
成田空港のANA SUITE LOUNGEで優雅に朝シャンペンを楽しんでいるとスタッフが私の乗る飛行機の搭乗が開始された旨を律儀に伝えに来たので、炭酸のゲップを抑えながらそそくさと搭乗ゲートに向かった。中国国際航空公司(Air China)の運行するCA460便に乗り込むと、座席上の物入れの中はすでにインバウンド観光客が持ち込んだ爆買戦利品で埋め尽くされており、段ボールに入った炊飯器等を動かすことが出来なかったので、仕方なく座席の下のスペースに自分の手荷物を放り込んだのだった。

当機は定刻8時50分に出発すると約5時間のフライトで内陸部の大都市である四川省成都に到着した。パンダの繁殖で繁栄を謳歌しているはずの成都双流国際空港内は大量のパンダのオブジェで賑わっており、この地では何事も白黒はっきりつけることが重要だと思い知らされたのだ。

空港からバスに乗ると30分ほどで成都の中心部に到着したので、そこから徒歩でとぼとぼと成都最強の観光地へと向かった。尚、詩人の杜甫もこの地の出身らしく、成都では杜甫草堂博物館も名所の一つとなっているのだが、今回は時間の関係で割愛させていただいた。

中国の歴史好きの輩は例外なく三国志をフォローしているはずであるが、蜀の都である成都には武侯祠というマサに三国志の聖地が君臨しているので謹んで訪問させていただくことにした。武候祠博物館(60元)は、蜀の王、劉備玄徳と丞相諸葛孔明を祀る廟で、1961年に国務院により全国重要文化財に指定されている由緒ある場所である。

勝手がわからなかったので、恐らく正面ではない入口から入ったためか、最初に三義廟というおなじみの劉備、張飛、関羽の三兄弟を祀ったファシリティに行き当たり、三国志DVDに登場する主役達そのもののいで立ちに恐れおののいてしまった。

内部をさまよっていると千秋凛然という博物館に行き当たったので入ってみることにした。展示物はマサに三国志の資料の宝庫であり、小説家の吉川英治(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9B%BD%E5%BF%97_(%E5%90%89%E5%B7%9D%E8%8B%B1%E6%B2%BB))や漫画家の横山光輝(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9B%BD%E5%BF%97_(%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%85%89%E8%BC%9D))がここに来れば狂喜乱舞するであろうことが容易に想像されよう。

劉備、関羽、張飛の像を祀った漢照烈廟(劉備殿)には三義廟のものとは表情の異なる3氏が鎮座していたのだが、その奥にあるはずの諸葛孔明とその子、孫の像があるはずの武候祠(諸葛亮殿)には工事中の影響でたどり着けなかったので優しい表情の孔明像を拝むことはかなわなかったのだった。

武侯祠内は赤壁の戦いをほうふつとさせる長い壁が張り巡らされているのだが、迫りくるフライト時間の関係で劉備の墓と言われている恵陵を見逃し、緑多き庭園の孔明苑が修繕中のために立ち入り禁止の憂き目にあったので、再度の訪問を検討しなければならないのだが、劉備が孔明に会う時も三顧の礼を尽くしたので私も三回来なければ謁見は許されないのかも知れない。ならば、土産物屋にて孔明仕様の扇子を爆買いしてジュリアナOG達が踏み倒したお立ち台にお供えすることも考えたのだが、センスの悪さを気にしてか、店頭では見ることが出来なかったのだ。

余裕があれば麻婆豆腐発祥の地である陳麻婆豆腐店にも立ち寄ろうと思ったのだが、今回は空港の食堂で元祖であるはずの麻婆豆腐と担々麺等を賞味させていただいた。山椒の効いた豆腐をひと口含むとそこには中華の鉄人、陳健一の世界が広がっていた。

CA4375便は定刻20時に出発し、中国大陸を南下して約2時間半で三亜鳳凰国際空港に到着した。ローマ法王は来たことはないと思うが、寒いところから熱帯地方に来た観光客が熱中症にならないように鳳凰空港の到着エリアには着替えのための更衣室が設けられており、思わずほ~お~と感心させられたのだ。

タクシー乗り場にはリゾート待ちの観光客で長蛇の列が形成されており、乗り込んだタクシーの運転手が間違ったホテルに連れて行ってとんずらこいてしまったので新たに手配したタクシーで何とか市中心のクラウンプラザホテルにしけこんだものの、町の喧騒で眠れない夜を過ごすこととなったのだ。

12月30日(水)
朝の散歩がてら立ち寄ったホテルのプールでリゾート気分を高めると、Tシャツと半ズボンで軽く周辺を散策することにした。海に近い川沿いには中国独特の毒々しげな高層ビルが目につくものの係留してあるクルーザーを見ると他のリゾートと同様にお金が流れている様子が想像できる。

中国大陸の南に浮かぶ海南島の最南端に位置する三亜は国際的なビーチリゾートの整備が今なお進んでおり、リッツカールトン、マリオット、ヒル / シェラトンといった名だたる外資系ホテルがこぞって進出している。爆買いにより回復基調にある日本経済の原動力となっている中国インバウンド観光客に報いるために、中国での散財を目的としてインターコンチネンタルホテルを予約していたのでタクシーで向かうことにした。尚、三亜には2軒のインターコンチがあり、案の定タクシーの運転手が最初に間違ったインターコンチに連れて行ってくれたので図らずも両ホテルの比較をすることが出来たのだった。

今回宿泊するインターコンチネンタル海栄湾リゾートは市中心や観光地から離れた東部のビーチにあり、周囲は開発真っ只中という様相を呈していた。木のぬくもりをふんだんにあしらったホテルの9階の部屋にチェックインするとバスタブがインストールされたテラスから眼下のプールや透明な南シナ海のビーチが眺められた。

地上に降りてウエルカムドリンクのビールを流し込むと、広大な敷地の芝生道を超えてビーチへと向かった。あいにくの曇り空と波の高さのため、遊泳禁止となっていたが、海はそこそこきれいで無理すれば泳げるくらいの海水温であった。

当ホテルの大きな特徴は水族館が内蔵されていることで、ウミガメやエイや掃除中のダイバーの雄姿をライブで眺めることが出来るのだ。

夕飯時になったので、館内の3軒のレストランを物色していたのだが、大人気の水族館レストランに予約なしで侵入することが出来たので目の前を泳ぐ魚たちを肴にシーフードビュッフェを堪能させていただくことにした。

メインコースはロブスターか大海老のチョイスとなっており、食事中にダイバーが頻繁にウミガメや六輔と命名されているかどうかわからないエイを引き連れて被写体になろうと躍起になっているので、落ち着いて飯を食うこともままならなかった。一人当たり約¥15,000の食事代(ドリンク付)がお得かどうかは実際にここに来ないと判断が出来ないであろう。

食後にビーチサイドを歩いて腹ごなしをしていると虹色に光るホテルのライトアップが眩しかった。魚を養っている水槽前のテラスではお洒落なバンドがサカナクションではないムーディーなミュージックを奏でていたのだった。

12月31日(木)
ホテル代の元を取るために今日は意地でもホテル内で過ごさなければならなかったのだが、隣に巨大免税ショッピングモールが営業していたので買う気もないのに足をのばしてみることにした。

中国人買い物客はここでは必ずしも爆買いをするわけでもなく、淡々とショッピングに勤しんでいたのだが、尿意をもよおした子供のパンツを下げて店の前で放尿させるというマナーはマサに一人っ子政策で子供を甘やかせる中国独自の荒業であったのだ。

山に沈む夕日を見送ると今夜はホテルのチャイニーズレストランにアポなしで突撃した。海南ビールで喉の通りを良くしたまでは良かったのだが、頼んだ料理の出てくる順番がスープ、メイン、前菜、デザート、あわびご飯と無法地帯の様相を呈していたのが多少気にかかったのだった。

1月1日(金)
ハッピー ニュー マサよ!

ということで、ホテルの地下水族館で最後のサカナアクションを堪能し、散財に勤しんだインターコンチを後にしてタクシーで空港にほど近い三亜湾のホリデーイン・リゾートに移動した。帰国を翌日に控え、豪華リゾートから通常のリゾートに格を落として現実に近づくためのリハビリも兼ねて今日は少し観光もかましてみることにした。

ホテル前のバス停から市バスに乗り、数kmの道のりを西に進んだのち、道路工事通行止め対策のシャトルバスを乗り継いで天涯海角風景区(100元)という景勝地にたどり着いた。海南島は長らく罪人の流刑地とされてきたが、特に三亜は、この世の果てを意味する「天涯海角」と呼ばれる土地だった。その実績を今に残すべく、この天涯海角は三亜最強の観光地として多くの人民を集めているのである。

さすがに風景区というだけあって青い海のビーチは美しく、1km程歩いていると様々な形をした岩々が忽然と姿を現し、観光客の目を楽しませてくれる。

中でも「南天一柱」、「天涯」、「海角」といった文字が彫られている岩は絶好の記念撮影スポットになっており、常に人だかりが絶えることがなかったのだ。

三亜湾に戻ると日もほとんど沈んでしまっていたのだが、ビーチの果物売りのおばちゃんは砂の上で閉店前のおしゃべりに余念がないようであった。

1月2日(土)
ホテルをチェックアウトする際に、昨日現金で支払ったはずの夕飯代を二重請求されそうになったのでフロント係を軽くどやしつけて溜飲を下げるとタクシーで三亜鳳凰空港に帰って行った。CA4250便成都行きは定刻10時35分出発にも関わらず、2時間弱も出発が遅れたため、成田行きへの乗り継ぎをあきらめかけたのだが、Air Chinaと成都双流国際空港スタッフの神対応のおかげで、CA459便15時30分発成田行きは1時間半程度遅らせて出発したものの危機感を共有した10名弱の乗り継ぎ客はかろうじて救われたのであった。

1時間程度の遅れで成田空港に到着したのは午後10時くらいであったろう。多少トラブルに見舞われたものの三亜はハワイの代替リゾート地として十分機能することが確認されたツアーであった。

FTBサマリー
総飛行機代 \65,890
総宿泊費 4,789.39元
総タクシー代 642元
総バス代 12元

協力 Air China、成都双流国際空港、IHG(Intercontinental Hotels Group)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です