東北でよかった!遅れてきた花見ツアー

今年の春は周辺で起こった様々な私事で3月末~4月は花見どころではなかったのだが、GWも終盤となるころ落ち着きを取り戻すことが出来たので何とか花見の挽回が出来ないかと考えていた。巷では「東北でよかった」という言葉が花盛りになる一方で大臣は散っていったのだが、東北北部の山間部で桜前線のアンカーを飾っている場所があるということなので万障繰り合わせの上、訪問を試みることにしたのだ。

2017年5月5日(金)
GWもたけなわの日程で飛行機や新幹線の切符を取るのは至難の業であったのだが、成田発仙台行という国際線接続のおまけの便に空席がたくさん残っていた。車で京成成田駅まで移動して、1日あたり\700というお得な駐車場に車を捨て置き、京成特急で成田空港に乗り込んだ。午前10時発ANA3231便は定刻通りに出発すると1時間程度のフライトで津波の被害を永遠に忘れることのない仙台空港に到着した。

早速タイムズレンタカーで日産リーフをレンタルすると矢沢永吉に「やっちゃえ♪」と背中を押されるような勢いで高速道路のETCゲートをくぐって行った。宮城から岩手の県境を超える前に昼飯時になったので長者原SAに立ち寄り、わらしべの代わりに名物牛タン定食(\980)を召し上がったのだが、牛タン2切れのみでは到底満足感を得るには至らなかった。

気を取り直してリーフに戻って再び東北の風に吹かれるように北上し、盛岡インターで東北自動車道を降りて細い山間迷い道をくねくねと進んでいった。ひとつ曲がり角、ひとつ間違えると渡辺真知子よろしくブルーになってしまうところであったが、順調に小岩井農場に到着することに成功した。

実際去年の4月下旬の花見の時期にこの地を訪れていたのだが(http://www.geocities.jp/takeofukuda/2016michinoku.html)、名物の一本桜はつぼみのままであった。開花時期はGWの終盤ということなので満を持して再度一本桜と対面させていただいたのだが、東北のV字回復を暗示するかのような空模様の下で一人咲きのエドヒガンザクラは凛とした雰囲気を湛えていたのだった。

名物生乳ソフトを賞味する間もなく小岩井農場を後にすると再び東北道に戻り、左手に見える岩手山に追いかけられながら松尾八幡平インターで高速を降りた。春まだ浅い八幡平の山間部を縫うように走るアスピーテラインは迫りくる雪の壁が名物なのだが、車を止めてゆっくり写真を撮る余裕がなかったので一気に目的地へと疾走した。

八幡平頂上付近で岩手から秋田へと道は変わり、通常であれば定宿の後生掛温泉に投宿するところであったのだが、予約出来なかったのでさらに秘湯度の高い「ふけの湯」を目指してがたがた道を進んでいった。冬季通行止めになるアスピーテラインの歳時記を踏襲するように4月の下旬から営業を始めるふけの湯は豪雪の中から掘り出された様相を呈しており、帳場の近くにあるふけの湯神社では子宝を願ういちもつ系の金勢大明神が虚勢を張っていた。

チェックイン時に名物野天風呂の説明を受けているときに宿主より熊を見かけたので注意するようにと言われたのだが、入浴時の丸腰の状態で熊と勝負せざるを得ない状況に追い込まれた時にはやはり自身の金勢大明神しか頼りになるものがないと覚悟させられた。

何はともあれ、願い牛に熊との鉢合わせを避けるように願掛けし、見るからに賽の河原の様相を呈している野天風呂へ続くゆるやかな坂道を下りて行った。野趣溢れる野天風呂は男女それぞれの浴場と掘立小屋系の更衣室が心細い混浴があるのだが、女性はバスタオルを巻いて入浴することが許されているので、混浴の方が人気のある様子であった。

ふけの湯の湯守がぬるめに設定した源泉かけ流しの単純硫黄泉は長時間の入浴を可能にし、頭をぽりぽり掻いた時に肩口に落ちる白い粉のようなものが水面に浮かんでいるのを目の当たりにするかも知れないが、それは湯ノ花のはずなので安心して火山の恵みに身を委ねることが出来るのだ。

今では廃墟となっているオンドル小屋を横目に野天風呂を後にすると夕飯時になったので素朴だが品数の多い膳が鎮座しているテーブルに着かせていただいた。地の物の焼きリンゴや山菜は明らかに熊との競合に打ち勝って収穫した貴重なものであり、食べ物が取れなかったはずの熊は今では電話番として第二の人生を送っているかのようであったのだ。

5月6日(土)
5月とはいえ、標高1100mに位置するふけの湯の朝は寒かったので早朝より野天風呂の男湯で暖を取らせていただいた。朝食後にはあいにくの雨模様となったため、館内の屋根付き露天風呂で300年前から湧き出る八幡平最古の秘湯の余韻に浸っていた。

心理的な頭のかゆみを伴いながらふけの湯を後にすると霧に包まれ、視界不良となったアスピーテラインをゆっくりと下って行った。

八幡平の玄関口に「あすぴーて」という地元の野菜、工芸品を販売する施設があり、その隣の公園に植えられているソメイヨシノがマサに満開を迎えていた。残念ながら雲に遮られて岩手山とのコラボレーションは見ることが出来なかったのだが、遅れてきた花見を満喫するには余りある桜並木のすばらしさであった。

日本名水百選「金沢清水湧水群」のありがたい水からサイフォンで抽出した八幡平コーヒーで体温を上げると日本で一番遅いはずの桜祭りの会場へと車を走らせた。八幡平さくらまつりは5月6日(土)、7日(日)に岩手県県民の森でひっそりと開催されていたのだが、雨のために心なしか盛り上がりを欠いているようであった。しかしながら、会場の周囲に咲き誇るピンクの山桜は岩手県人の誇る宮沢賢治の名作よろしく「アメニモマケズ」イーハトーブを見事に彩っていたのだった。

FTBサマリー
総飛行機代 \23,430
総宿泊費 \28,080(二食付き、二人分)
総レンタカー代 \10.650
総高速代 \11,610
総ガソリン代 \4,936
総駐車場代 \1,400
総鉄道代 \516

協力 ANA、楽天トラベル、タイムズレンタカー

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