第5回カンガルーと一緒に地球環境問題をカンガェル~ツアー in オーストラリア(ケアンズ)

地球温暖化のあおりを受けたためか、今年の梅雨は露ほどの期間もなく、猛暑の訪れとともに西日本に甚大な豪雨の被害をもたらせてしまった。見事な大猫に成長したボンよ、君たちは家の中で涼しい寝場所を見つけることには長けているはずので、FTBツアー中の留守を守っている間は各自で暑さをしのぐことはたやすいことであろう。

ということで、酷暑の日本を脱出し、赤道を越えてオーストラリア北東部のクイーンズランド州ケアンズに飛んで雄大な自然環境の中でひとときの涼しさを求めるツアーが敢行されたのだった。

2018年7月14日(土)
ANAが多数所有するロールスロイス社製トレント1000エンジンを搭載したボーイング787ドリームライナーが航空当局の指導により、一斉整備、点検による欠航便多発のあおりを受け、FTB一行が搭乗するはずであった東京→大阪の便が欠航となったものの、今回のツアーはどうしても決行しなければならなかったので振り替え便の午後3時発ANA33便、ボーイング737-700機に搭乗し、4時過ぎに伊丹空港に到着した。空港バスで関西国際空港に移動し、「ぼてじゅう」でお好み焼きを詰め込んで腹をぼてっとさせた後、午後9時発Jetstar JQ16便、ボーイング787GE製エンジン搭載機に搭乗するとLCCの不便を感じないためにひたすら意識をなくすことに専念した。

7月15日(日)
約7時間のフライトを何の不便もなくやり過ごすと、夜明け前のケアンズ国際空港に到着したのは午前5時を少し回った時間であった。関空だけでなく、成田からケアンズに飛んでくるJetstar便も同じ時間帯でのフライトだったので入国エリアはおびただしい数の日本人でごった返していた。機械での自動入国処理、税関での甘い手荷物審査をパスするとATMでオーストラリアドルを引き出し、停車していたプリウスタクシーに乗車して予約しておいたホリディイン・ケアンズ・ハーバーサイドにようやく到着する運びとなった。

熱帯地方とはいえ、冬まっさかりのケアンズの早朝の気温は15℃を切っているように感じられ、部屋が準備出来るまでの時間に海沿いを歩いたりもしてみたが、バカンス風邪をひきたくなかったのでしばらくロビーのソファーで惰眠を貪りながら待機していた。朝日が昇ると一転して気温は夏日を目指し始めたので9時を回った頃に徒歩でダウンタウンに向かうことにした。

毒々しい高層ビルが見当たらないケアンズダウンタウンの主要道路であるLake Streetに沿って南下しているとなんかよくわからん木々の集合体のような植物に遭遇し、上方から鳥の鳴き声らしき喧騒が聞こえてきた。これは絞め殺しのイチジクという熱帯地方の代表的な着生植物で大きく成長したこの木はこうもりの棲家になっており、喧騒は夜のハンティングを終えて戻ってきた団体が枝にぶら下がって狩の成果を自慢しあっていたと思われた。

都会の一等地のこうもり団地を過ぎるとWoolworhsという巨大平屋スーパーマーケットが姿を現したので軽くマーケティングを行うことにした。乾季のこの時期はこうもり傘は売ってなかったが、強い日差し対策のスキンケア用品の品揃えは豊富で、ケアンズの誇るグレート・バリア・リーフの名に恥じない強力なバリアを肌に施してくれる商品で陳列棚が埋め尽くされていた。また、店内のフードコートは揚げ物づくしのSeafoodのみならずSUSHIもコーナーも充実しており、サッカーワールドカップで日本をすしにして食ってやるといったベルギー代表チームもすばやくカウンターで注文をしかけにくることは間違いないであろう。

意外に小さいケアンズのハーバー沿いの町並みをひととおり見て回ると迎えに来たホテルのシャトルバスに乗り込み、ホリディインに帰還すると部屋待ちの時間を利用して現地ツアーを物色することにした。ケアンズでの有意義な過ごし方はツアーの選択にかかっており、世界最大の珊瑚礁地帯グレート・バリア・リーフ、世界最古の熱帯雨林ウエット・トロピックスという世界遺産は必見項目なので各1日づつそれぞれのツアーに当て込む予定を急遽作成した。

ホテルのブルーマンゴーカフェでトロピカルテイストのビールをすすっていると部屋の準備が出来たとの知らせを受けたので4階のオーシャンビューのStandard Roomの風呂場で体を清めると再びダウンタウンに繰り出すことにした。到着初日に何のアクティビティもないという体たらくを打開するために5時半に出港するCairns Harbour & Sunset Cruises(AU$48)に参加することにした。

クルーズ自体はトム・クルーズのようなアクション性はなく、いたって静かに夕日に染まるケアンズのハーバー周辺を眺めるもので時間と金を持て余している輩に優雅なひとときを提供するツアーなのである。

燃えるサンセットを堪能した後、手ごろなタイレストランでそんなに辛くない麺類と揚げ魚の香草ソースかけを召し上がり、周辺をうろついているとOK GIFT SHOPに遭遇した。故大橋巨泉が経営していたこの店もすでに巨泉写真建て看板もなく、土産物屋としてのカリスマ性が失われている様子で盟友のビート・たけしや石坂浩二の援助が待ち望まれるところであろう。

7月16日(月)
ケアンズ人気ツアーランキングの第2位にキュランダ1日観光なるツアーが君臨している。端的に言うとケアンズの北西30kmに位置する世界遺産の熱帯雨林に囲まれた高原のキュランダという小さな町にロープウエイや観光列車を駆使して行って帰って来るという単純なツアーである。ホリディインでホテル片道送迎付きのツアーを申し込んでいたので9時55分に迎えに来たバスに乗り込むと15分ほどでスミスフィールドというスカイレールの搭乗駅に到着した。

スカイレールは1995年に完成した全長7.5kmの6人乗りゴンドラ式のロープウエイで世界最古の熱帯雨林と言われている太古の森を高所から見下ろして自然環境の大事さを再認識させてくれる最新式の乗り物である。スピーカーから流れる標準英語の解説によると、現存する世界最古の熱帯雨林はかつてはオーストラリア全土を覆っていたが、何百万年前以前に起きた気候と地殻変動により、現在はオーストラリア全土のわずか0.1%にも満たないものに成り下がってしまったということであるが、驚くほど多様な生態系は今もなお息づいているそうだ。

スカイレール全行程中に途中停車駅が2つあり、最初のレッドピーク駅で下車してトレイルを歩くと樹齢400年のカウリ・パインという巨木を見上げて首のストレッチをすることが出来る。また、バンヤンツリーやアレキサンドラ・パームも見ごたえがあり、このあたりは高温多湿な環境でよく発達した熱帯雨林の様相を呈している。

レッドピーク駅を過ぎるとスカイレールは徐々に降下を開始し、途中シーニックレールウエイという観光列車と熱帯雨林のコラボレーションが堪能できるポイントでシャッターチャンスを逃さないようにゴンドラの同乗者同士が気を使いあっていた。

次のバロンフォールズ駅で下車してバロン渓谷とバロン滝の絶景を短時間で堪能し、後方から流れてくるゴンドラに再搭乗し、バロン川を越えてしばらくすると終点のキュランダに到着した。全体で約1時間程度の空中散歩が終了し、地に足を付けるとキュランダの町の散策へと歩を進めることにした。

キュランダという名前はアボリジニの言葉で「熱帯雨林の村」という意味で、19世紀には鉱山の町として栄えたそうであるが、その名残はかつて町を席巻していたはずの髭もじゃヘルメットマン人形に色濃く残されていたのであった。

観光地化された町の標識を支えるカマキリの案内でショッピングストリートにたどり着くと、土産物屋では非売品のワニの剥製が鎮座し、孫の手の代替品のワニの手が観光客の痒い所を虎視眈々と狙っており、リアルがま口財布の目つきの悪さに一旦たじろいだものの総じて手ごろな価格設定になっていることが確認できた。

特に買う気がなかったのでカンガルーの毛皮の手触りだけ確認して近くのカフェでランチタイムを楽しむことにした。マンゴースムージーに刺さっている竹紋様のストローは紙で出来ており、地球環境に配慮した脱プラスティックの一刻も早い普及が世界レベルで必要になっていることを実感させられた。

キュランダには熱帯雨林トレイルをはじめ、いくつか見所があるのだが、時間の関係で今回はコアラガーデンズ(AU$19)のみに集中してお約束のオーストラリア特有の動物と触れ合うことにした。まずは観光客が来るのを首を長くして待っている亀を威嚇して首をすくめさせると、カラフルな爬虫類コーナーをスルーしてご本尊のコアラ舎に向かった。

通常であれば、観光客がコアラに触ろうとすると係りの人に「コァラ~!}と怒られるのであるが、大金さえ支払えばコアラを抱いて手篭めにしているところの証拠写真を撮らせる仕組みはオーストラリア国内のどこの動物ランドも同じであろう。

その希少価値の無さでオーストラリア国内の動物園ではたいてい放し飼いにされ、自由に餌付けされているカンガルーの語源は、キャプテン・クックがアボリジニの原住民に「この動物は何?」と尋ねたところ、原住民は特にカンガェル~こともなく「カンガルー」と答えたそうだ。尚、当時のアボリジニの言葉で「カンガルー」とは「何言ってるのかわからん」という意味だという説があり、マサにキャプテンと原住民のコント仕掛けにより命名された動物だと言えるであろう。

コアラの鎮座するユーカリの木の下には小型のワラビーのクオッカが佇んでいるのだが、その愛らしさゆえに取って食ぉっかとは決して思ってはいけないのだが、池にいるワニは自由にスッポンを追い回してよいシステムにはなっているようだった。

コアラに別れを告げ、園外のガーデンのカフェにたむろするイグアナとお近づきになった後、木陰を散策していると第二次大戦中に墜落したDouglas社製の飛行機の墜落現場が保存されている光景を目の当たりにし、ANAが書き入れ時に多数の欠航便を出してまでエンジンの整備・点検を行い、安全確保している姿勢に敬意を表さずにはいられなかったのだ。

ケアンズへの帰路はキュランダ鉄道駅から15:30発のシーニックレールウエイに乗車することになっていたのでレトロな雰囲気の客車12号車の指定席に腰掛けて出発の時間を心待ちにしていた。客車内のシート配列は峡谷が見える側4列のみだったが、あいにく峡谷フロントとは反対の法面ビューの席だったため、絶景が現れてもタイムリーにシャッターを切ることは難しいと思っていた。

キュランダからケアンズまでの34kmを1時間45分かけて遅走する列車の車窓には熱帯雨林の山の斜面に開けた絶景が次々と現れる。出発して程なくするとバロンフォールズ駅に停車し、観光客はここで一時下車して展望台風に造られたプラットフォームや見晴台から滝や列車の写真を撮ることが出来るのだが、地味な色合いの客車を引っ張るディーゼル機関車の車体には熱帯雨林に棲むカーペットスネークをモチーフにしたアボリジニの絵が緑の魔境と絶妙なコントラストを形成しているのが印象的だった。

ヘアピンカーブに差し掛かる前には社内アナウンスで写真撮影スポットが近いことが告知され、牛歩戦術で進行する列車の車窓から観光客は一斉にシャッターを切っていた。列車はケアンズ近郊のFreshwater駅でツアー送迎車に乗り換える多くの客を降ろし、定刻17時前には無事ケアンズ駅に到着し、流れ解散となったのだった。

7月17日(火)
G.B.R.、それは日産ファンが信奉するGTRではなく、オーストラリアの代表的な世界遺産、グレート・バリア・リーフのことである。全長2,600kmを超える世界最大の珊瑚礁地帯G.B.R.に最も手軽にアクセス出来るケアンズ沖合い27kmに浮かぶグリーン島への1日クルーズがツアーランキング不動の1位になっているので当然のことながら参加予約者に名を連ねていた。

8時5分にホテルに迎えに来た大型バスに乗り込むといくつかのホテルで予約者をピックアップしながらリーフ・フリート・ターミナルへと向かった。グリーン島へのツアーはGreat VenturesとBig Catの2社が催行しているのだが、ボンに敬意を表してBig Catを選択していたのでツアー窓口のカウンターでバウチャーを出して搭乗券を入手すると巨大な緑の船体のクルーズ船に乗り込んだ。

さわやかな晴天の下、定刻9時に出発となったBig Catは毎日目にしている大猫のすばやい動きとは裏腹にゆっくりとした速度で波を切っていた。船が進行している間にツアー客は船体後部のデッキでツアーメニューに含まれているスノーケルセットを調達するのだが、配布する側のクルーズのスタッフは客の様子を一瞥すると一瞬でサイズを割り出し、適切なサイズのマスクとフィンを次々に渡して行ったのであった。

約1時間15分の航海でG.B.R.の島としてはめずらしい純サンゴの島グリーン島に到着した。長い桟橋の最先端に横付けされたBig Catを下船するとあたりは一変して青い海のパラダイスとなり、果てしなく透明度の高い海に取り囲まれることになる。

強い風に吹かれながら、まずは島への上陸を急ぎ、ユネスコ世界自然遺産の表示でテンションを上げているとナンヨウクイナという飛ぶことよりも走ることが得意な鳥から歓迎を受けた。近くのビーチではすでにスノーケル教室の看板が掲げられ、多くの観光客はすでに波に身を任せていた。

今回予約したツアーに含まれるメニューとしてグラス・ボトム・ボートがあり、11時45分からの便に乗ることになっていたので島のカフェで軽くコーヒーを飲んだ後、急ぎBig Catに戻り、何故かFTBが乗るべき日本語解説付きの便よりも早い便に乗るはめになってしまったのだが、運転手兼ガイドは自分の英語はSecond Languageだと言い張る日本人女性であったのだ。

強化ガラスを通して見るG.B.R.の景色は目を見張るものがあり、様々な種類のサンゴがガラスのフレームに姿を現しては消えていった。。砂地に生えている水草を主食とする海亀も高確率で見られたのだが、運転手兼ガイドは海亀の姿をロックオンしたまま海上で船を停止させるという高等技術までは持ち合わせていなかったのだ。

約30分のグラス・ボトム・ボートツアーの最後を飾るのは、海上に餌を撒いて魚や鳥を集めてそのじたばたぶりを見物するというものであったのだが、巨大な魚が我先に餌にありつこうとする様はマサに弱肉強食の世界であった。

島に戻ると丁度昼飯時となったので島内随一のファイン・ダイニングであるエメラルド・レストランでスモークド・サーモン乗せベーグルとWagyuという名のオージービーフバーガーを高値で発注した。バーガーが出てくるのに長時間を要したものの、その味は決してWagyuの看板を汚すものではなかったのだ。

空腹も満たされたところでスノーケルギアを片手にビーチに移動し、軽く水中散歩と洒落込むべく海に身を投じたのだが、思ったより海水温が低くビーチの周辺は砂地で魚も泳いでいなかったので早々と撤収を決め込み、次のアクティビティに向けてBig Catへ戻ることにした。

Big Catの後部のデッキはグラス・ボトム・ボートとSemi-Submarineという半潜水艦を密着させて乗客の乗り降りがスムーズに行われるようになっている。スノーケリングで濡れた体を乾かす暇も無く、14時45分発のSemi-Submarineの狭い螺旋階段を下りて最前部のスクリューフロントの特等席に陣取ると早速窓の横に巨大な魚がお目見えとなった。

ツアーガイド気取りの巨大魚は出航から帰還まで休むことなく先頭の窓位置をキープしていたので目が合ったときに少し避けてくれと目配せをしたのだが、最後まで潜水艦の盲導魚の職務をまっとうしてくれたのであった。

G.B.R.の魚の勤勉さに胸を打たれた頃、ツアーは終了の時間となり、15時45分にグリーン島を後にすることになった。グリーン島周辺の珊瑚礁は種類は多彩だが、そんなにカラフルではなかったようだが、松田聖子が推奨するはずの♪青い珊瑚礁♪だけは♪素肌にきらきら♪かがやいているようだった。尚、ビーチの♪渚に白いパラソル♪を立ててリラックスしたり、高級リゾートホテルであるはずのグリーンアイランド・リゾートホテルに宿泊して♪渚のバルコニーで待ってて♪といった待ち合わせ状況を作り出すことも十分可能なので次回訪問の際には検討してみたいと思っている。

定刻17時にケアンズに帰港し、ツアーに大満足だった参加者は下船後ツアークルーとハイタッチを交わしてそれぞれの帰路に着いていた。ホテルに戻って体に付着した塩分を除去すると夕飯時になったのでホリディインのレストランで産地の食材を賞味することにした。特に印象的だったのはカラマリと言う名のイカのリングフライだったのだが、有名シーフードレストランでもカラマリの味はからまわりすることが多い中、ここのイカは味といい、やわらかい食感といいマサに絶品中の絶品と呼ぶにふさわしい代物だった。

7月18日(水)
短い期間であったが、まる3日間でケアンズのエッセンスを吸収出来たのでロビーで呼んでもらったプリウスタクシーで空港に戻り、免税品店で機内食や飲み物が有料のLCC対策の飲食物を仕入れた後、定刻13時発JQ15便は遅れを出すことなく、19時30分には関西国際空港に戻って来れたのであった。関空の551で豚饅をほおばりながら、頻繁に発生する懸念のあるスケジュールの大幅な変更や欠航さえなければコスパの高いLCCでオーストラリアを旅行するのは結構なことだと思いながら流れ解散。

FTBサマリー
総飛行機代 Jetstar = ¥65,220、ANA = ¥25,880
総宿泊費
総Cairns Reef Tour – Full day Green Island Pak3 Semi-Submarine代 AU$117.-

総タクシー代 AU$35.5
総オーストラリア電子ビザ代 US$9.95

協力 ANA、Jetstar、IHG、Big Cat

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