ボンよ、君たちがのんきに不貞寝を決め込んでいる間に島根県まで飛行機を飛ばし、温泉地で肌を磨いて神様とひそかに縁を結ぶツアーが実行されていることはマサに寝耳に水であったろう。
2017年11月24日(土)
前日の金曜日に川崎駅アゼリア地下街に店を構えているチケットショップのJ・マーケットで11月30日期限のANAの株主優待券を1枚あたりわずか¥2,500で入手していた。株主優待割引運賃でお得に購入することが出来たチケットを握って颯爽と10:35発ANA575便羽田発萩・石見行きに乗り込むと約1時間45分のフライトで島根の西端でありほぼ山口県に位置する萩・石見空港にお昼過ぎに到着した。早速空港のTimes Car RENTALでホンダのN-BOXをレンタルすると島根県の東端に位置する松江地方への長旅の火蓋が切って落とされたのだ。道中にて牡蠣入り長崎ちゃんめんを食しながら、ちゃんぽんスープとラーメン麺が見事に縁結びされている実態を目の当たりにしていやがおうにも縁結びツアーの期待が高まっていったのだった。
萩・石見空港から200km近い道のりをN-BOXを転がして何とか玉造温泉に到着したのは午後4時を回った時間であったろうか?昭和天皇も宿泊した実績を売りとする伝統と格式の高いはずの保性館にチェックインするとこの旅館内では何人たりとも性転換が出来ないというプレッシャーを感じながらそそくさと温泉へと足と運んだ。
温泉総選挙2016うる肌部門第1位環境大臣賞を受賞した実績のある玉造温泉はマサに「湯船すべてがまるで化粧水」のような感覚で老化した肌がみるみる若返っていく錯覚に陥っていった。脱衣場にはこれ見よがしにピタッと3秒肌チェック器具がインストールされており、入浴前後の肌の潤いを比較出来る手はずとなっている。気になった点といえば温泉水自体が化粧品と謳っている割にはパウダールームには多数のスキンケアー用品が常備されており、温泉水単体での勝負を決め込んでいる潔さが感じられなかったのだ。また、何故かご丁寧にグルコサミンがおいてあったので最近痛みを感じている左肩にたっぷり塗りこんでグルグル回しながらその効能を見極めていた。
昭和天皇も歩いたはずの中庭で火照った体をさましながら口をあけて集まってくる鯉と縁を結んだ後、待望の夕食時間となった。食卓には豪華な膳が並んでいたのだが、隣の列のテーブルに目をやるとカニの爪のようなものがとがっている感覚を覚えたので極力隣を見ないように山陰の地の食材に舌鼓を打たせていただいたのだった。
腹も落ち着いてきた時間を見計らって寒空の下、温泉地を散策してみることにした。玉袋筋太郎(NHKでは玉ちゃんと改名)が知っているかどうかは定かではないが、玉造温泉の由来は三種の神器の一つ、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)が、櫛明玉命(くしあかる だまのみこと)によってこの地で造られたことだそうで、温泉地を流れる川に架かる橋の上には巨大な勾玉が神秘的な輝きを放っていた。
日帰り入浴施設である玉造温泉ゆうゆにて毎晩20:30より開催されている安来節ショーどじょうすくいを¥500の支払いで見学させていただくことにした。足元が少しふらつき出演者の名前を思い出すのに少し時間がかかるおじさんが見事な安来節を披露した後、銭太鼓という出し物を経ていよいよメインイベントのどじょうすくいが始まった。年の割には安定した柔軟性のある足腰を持つおじいさんのどじょうすくいはプロ野球の内野守備の練習にも取り入れられるべきだと思われるほど見事なものであった。尚、おじいさんの指導の下、観客5人までがステージに上がり、どじょうすくいの芸を授けられることが許されており、参加者は最後にもらう認定証が過酷な指導のすくいとなっていたのだ。
11月25日(日)
バイキング朝食で供されたシジミの味噌汁でしみじみと宍道湖の恵みに感謝した後、島根県内でも有数のスピリチュアルスポットとして名高い近隣の玉作湯神社に祈願に行って見ることにした。
玉作湯神社には触って祈れば願いが叶うと言われている「願い石」がある。ここのシステムはまず社務所で¥500支払って「叶い石」なるものを購入し、その叶い石を御神水で清め、神社に奉納されているまあるい「願い石」に直接触れさせるのだ。さらに拝殿にて「願い札」に願い事、住所・氏名を記入すると宮司さんが御祭神にお取次ぎしてくれることになっている。願いが叶ったあかつきには叶い石を奉納しに玉造温泉を再訪するのでリピーターの確保に一役買っていると言えるのである。
願い石にこの先ボンが気楽に暮らしていけることを祈るとN-BOXを転がしてさらなるパワースポットを目指した。一般的に旧暦10月を「神無月」と申し、これは全国の村々里々にお鎮まりの神々が1年に1度ある場所に参集するためであるのだが、全国に1ヵ所のみその月を「神在月」を申す場所がある。これこそマサにしあわせのご縁を結ぶ大会議の元締めである「大国主大神」さまがお鎮まりになられる出雲大社であられるのだ。尚、平成29年の「神在月」は11月27日夕刻~12月4日夕刻となっており、多くの祭りや神事が予定されている。
あいにく雨のそぼ降る荒天であったが、参道は元若ギャルであるはずの妙齢の女性を中心とした縁結びを求める参拝者で大変な賑わいを見せていた。とりあえず神社フロントで営業しているモダンな店でコーヒーを飲みながらスターバックスの女神が日本の神々と縁結びされている実状を確認し、満を持して鳥居をくぐらせていただくことにした。
境内のあちこちには「ポケモンGO」を禁止する立て札が設けられており、うさぎ以外の動物やモンスターは出入り禁止になっているので参拝者は安心して縁結びの祈願に集中することが出来るのだ。
拝殿で祈願をすませ、その奥の塀で囲まれた御本殿を垣間見たのだが、有料入場制を取られているようなので、どうしても縁を結ばなければならない参拝者を優先させておくべきだと考え、周りをぐるっと一周するにとどめておいた。
参道に立つV字回復杉は縁結びの聖地にありながら別れを意味するのではないかという年長者の噂話が耳に入ってきたので接触することなく神楽殿へ向かった。インスタ映えすること必至である神楽殿の巨大しめ縄は出雲大社のシンボルであり、しめ縄に5円玉を投げつけて見事硬貨が刺さると縁結びの効果が上がると言われているのだが、残念ながら針金の防御が巡らされているため、参拝者の暴挙は制限されることとなったのだ。
縁結びの神様からとてつもないパワーを十分注入してもらった実感を胸に参道の御茶屋で名物出雲そばと出雲ぜんざいが見事に縁結びされているお得なセットでさらなるパワーアップを実感すると後ろ髪を引かれる思いで神話の地に別れを告げた。
萩・石見空港の土産物屋で目にしたどじょう掬いまんじゅうが救いを求めるようなまなざしで見つめてきたのだが、どじょうとは縁結びをすることなく流れ解散となった。
FTBサマリー
総飛行機代 ¥42,380
総宿泊費 ¥42,000(二食付き、二人分)
総レンタカー代 ¥9,820
総ガソリン代 ¥3,450
協力 ANA、楽天トラベル、Times Car RENTAL、Jマーケット