IchiRoad to 3000 in マイアミ with ドミニカ共和国

FTBはイチローの2001年のMLBデビュー以来、MLBの様々な球場でイチローの雄姿を見守ってきた。
http://www.geocities.jp/takeofukuda/2001mlb3.html
http://www.geocities.jp/takeofukuda/mlb.html

3000本安打という金字塔が達成間近になり、にわかにカウントダウンが熱を帯びてきたこの時期に飛行機を飛ばしてわざわざアメリカの端っこまで足を伸ばすことはMLB評論家を自任するFTBとしては当然の義務なのだが、果たしてイチメーターは進んだのであろうか!?

2016年7月8日(金)
17:10発ANA114便シカゴ行は定刻通りに出発し、機内で東芝日曜劇場「天皇の料理番」を見ながらエコノミークラスの機内食の不十分さを心理的に補っているうちにシカゴオヘア空港に午後3時前に到着した。ユナイテッド航空が運航する19:21発NH7800便に乗り換えると約3時間弱のフライトでマイアミ空港に着いたのは午後11時半を回った時間であった。Holiday Innホテルのシャトルバスが中々来ないことに苛立ちを隠せないどこぞの航空会社の乗務員のクレーム電話に耳を傾けながらバスを待っていると30分待ちでやってきたバスに乗りホテルに着いた頃には日付が変わってしまっていたのだった。

7月9日(土)
空港から1.6マイルしか離れていないHoliday Inn Miami International Airportからシャトルバスで再び空港に戻るとMetororailという公共交通機関でマイアミダウンタウンまで移動し、さらにダウンタウン内を無料で移動出来るMetromoverに乗り換えてBayfront Parkという駅で下車する運びとなった。今回は「I」のロゴを持つホテルに宿泊するこだわりを見せていたのでシーズンオフで安値で宿泊出来るIntercontinental Miamiにチェックインするとしばし窓辺からカリブ海クルーズの出航地となっているマイアミ港の景色を眺めていた。

アシックスをお払い箱にして2015年のシーズンよりイチローが採用したビモロシューズの紐を締めなおして再びMetromover、Metrorailを乗り継ぎ、Culmerという駅からMarlins Park行きのシャトルバスに乗ると午後3時前には全天候型スライド開閉式屋根付きエアコン完備球場であるマイアミ・マーリンズの本拠地に到着した。

手始めに球場の全容を解明すべくスタンド周りを一周して見たのだが、Team Shopではイチローユニフォームが日本語版、英語版共販売されており、イチローの3000本安打達成を前祝いするかのようにイチローグッズの専門店まで開業していたのだった。さらにライトスタンド後方には電光式Ichimeterが現在の通算安打数である2990を誇らしげに灯していた。

イチロー率いるマイアミ・マーリンズ対シンシナチ・レッズの試合は4時10分にプレーボールとなったのであるが、チーム事情から主役のイチローは序盤はベンチを温めて、3塁側スタンド前列に席を取ったFTB一行に対してその形の良い後頭部を披露するにとどまっていた。試合の方はレッズの左投手のLambが羊肉のように臭いコースを突いてマーリンズ打線も湿りがちだったためか、762本のMLB本塁打記録を持つバリー・ボンズ打撃コーチもその坊主頭を抱えていたのだった。

冬場のバカンスシーズンではないため、千葉ロッテ・マリーンズ程度の観客数しか入っていない球場が盛り上がりを見せ始めたのは、当然のことながら主役のイチローがネクストバッターズサークルに姿を現した8回の裏2死1,2塁の場面であった。

場内に「Ichiro Suzuki」の名前がコールされると観客は総立ちとなり、事前に配られていた「ROAD TO 3000」のパネルや多くのファンが手にしているイチローの人面ウチワをが打ち振られ、皆ライトスタンドのIchimeterが2991に代わることを疑っていなかったのだが、無念にもこの日のイチローはピッチャーゴロに倒れてしまったのだ。

結局試合の方は地元のマーリンズが4対2で勝利を収め、イチローも勝利のハイタッチに参加してその見事なチームワークスピリットを観客に示してくれていたのだった。

試合終了後、晩飯の頃合いになっていたのでシャトルバスと公共交通機関で一路ホテルに帰還し、ダウンタウンに「スシロー」等の高級日本食屋が開業していれば、一番高いネタの皿を天高く積み上げて溜飲を下げようと思ったのだが、和食探しが徒労に終わったため、ホテルの肉食レストランである「Toro Toro」でおすすめの「Nikkei」と名乗る宮崎ブランド牛を断ってToro Toroという南米肉セットを食らってIchiroのリベンジを祈願しておいた。

7月10日(日)
今日はMLBオールスター前の前半戦最終戦ということで、前日と同じカードのマーリンズ対レッズ戦は午後1時10分からの開始となったのだが、昨日と同様にイチローはスターティングメンバ―に名を連ねていなかった。試合の方はバリー・ボンズ打撃コーチの適切なアドバイスが功を奏したはずの主砲ジャンカルロ・スタントンのホームランがレフトスタンド上段に突き刺さり、マーリンズ有利の展開で進んでいった。

スタントンのホームランの喧騒を凌駕するイチローコールが場内にこだましたのは7回裏無死1塁のチャンスに代打イチローが起用された場面であった。

しかし、相手投手のスライダーがイチローの足を直撃するとイチローコールは一瞬にしてブーイングの嵐となり、手当に向かったトレーナーを制するようにイチローは軽やかな足取りで一塁に向かっていった。

試合の方は7対3でマーリンズが勝利を収め、プレーオフ進出を期待する地元ファンは喜んでいたものの、日本からはるばるイチローのヒットを期待して見に来たファンはイチローの出場機会が制限されていることにフラストレーションを抱えているようだった。しかし、イチローの調子自体は全盛期を彷彿とさせるほどのヒットメーカーに復活しており、7月中には3000本安打を打つことは確実視されているのだが、あとはマーリンズサイドのマーケティングとの兼ね合いになるかも知れない。

7月11日(月)
午前11時頃インターコンチネンタルホテルをチェックアウトしてホテルに内蔵されているAlamoレンタカーでヒュンダイ小型車をレンタルするとダウンタウンから少し離れたリゾートエリアであるマイアミビーチを軽く流していた。細長いビーチのパーキングメーター式駐車場はどこも満車状態で何とか見つけた駐車場に車を止めてビーチに足を踏み入れてみるとそこはマサに大西洋のセレブビーチの様相を呈していたのだった。

今回はマイアミビーチでのアクティビティは予定に入れていなかったので、速やかに車に戻ると世界遺産の湿地帯として君臨しているエバーグレーズ国立公園($20/車1台)に向かうことにした。同公園にはいくつかの観光ポイントやビジターセンターがあるのだが、一番簡単にアクセス出来る淡水地帯のシャークバレービジターセンターを訪問させていただいた。

通常ここでのアクティビティは24km先の展望台までトラムか貸自転車でアリゲーター等を見物しながら到達して戻ってくることであるのだが、今日は時間がなかったのでとりあえず午後3時からのパークレンジャーのプレゼンテーションを拝聴することにした。現在エバーグレーズで大きな問題の一つになっているのは外来種の脅威であり、元々ペットとして飼われていたビルマニシキヘビが公園に放流され、そいつらが繁殖し、ワニと仁義なき戦いと繰り広げているので駆除しなければならないと申していた。

公園には野生のボブキャットが生息しており、ボブキャット・トレイルを抜けてシャーク川に辿り着くそこにはアリゲーターが水面をなめらかに移動し、正直そうに見える白い鳥のサギが正攻法で魚を取っている光景を目にすることが出来た。

午後5時にはマイアミ国際空港でヒュンダイ車を返却し、アメリカン航空AA1337便が1時間の遅れを出したものの午後7時半にマイアミを飛び立ち、約2時間のフライトでドミニカ共和国の首都サント・ドミンゴのラス・アメリカス国際空港に午後9時半頃到着した。早速空港のATMで現地通貨を2000ペソ程引き出すとタクシーで今回の宿泊先である☆☆☆☆☆ホテルのCatalonia Santo Domingoに移動し、2013年に行われた第3回ワールドベースボールクラシック(WBC)での同国の優勝を讃えながら眠りにつかせていただいた。

7月12日(火)
ドミニカ共和国は、カリブ海でキューバに次いで2番目に大きなイスパニョーラ島の東半分を占めており、国全体の面積は九州に高知県を足したくらいの大きさである。コロンブスが第1回航海の時に足を踏み入れたドミニカ共和国は、当初スペインによって新大陸で最初の町が造られ繁栄したのだが、その栄華を伝える歴史遺産が旧市街に残っているので早速訪問することにした。

ソーナ・コロニアル(旧市街)という一角は世界遺産にも指定されており、歴史的建造物が数多く残っている。まずは旧市街のランドマークになっているコロンブス広場でクラーク博士ばりに指をさしているコロンブスの像にイチローの3000本安打の早期達成を祈っておいた。

1492年~1821年まで、歴代の総督が住んでいた官邸がラス・カサス・レアル(王宮)博物館(RD$60、オーディオガイド付き)として開業していたので見学させていただくことにした。展示物は多岐にわたり、サンタ・マリア号など、航海に使われた帆船のミニチュア模型や、何故か桃山時代から江戸時代にかけての日本の甲冑や刀まであり、サムライ・ジャパン魂もここまで届いていたのかと驚かされもした。

博物館の目の前には石碑のような日時計が鎮座しているのだが、これは1753年に造られた新大陸で最も古い日時計で長きに渡ってこの町の波乱万丈を見守ってきた威厳を湛えていた。

ホテルが海に面していることもあり、レストランでシーフード三昧を楽しむことにした。ロブスターのサラダ、タコのソテー、プリプリ白身魚の焼き物やパエリア風シーフードライスを召し上がったのだが、どれも日本人の味覚にマッチしており、広島カープアカデミーオブベースボール(http://www.carp.co.jp/facilities16/dominica.html)の日本人スタッフもきっと満足したであろうと思われた。

7月13日(水)
ホテルの目の前はカリブ海の絶景とはいえ、バカンス用のビーチではなかったのだが、地元住民が何人か泳いでいたので軽く水浴びをすることにした。何気ない住民の憩いの場に見えるビーチだが、砂浜はウミガメの産卵地にもなっているようで海の生態系の重要な役割さえも担っていることが確認出来たのだ。

再び旧市街に繰り出し、マイケル・ジャクソンに扮装した大道芸人のチップ缶にコインで音を鳴らして景気づけをした後、昨日は見ることが出来なかった重要ファシリティのいくつかを見学することにした。昨日訪れたコロンブス公園の背後にどっしりとした大聖堂(RD$100、オーディオガイド付き)が多くの観光客を集めていたので入ってみることにした。1510年にスペイン王朝の依頼を受けて新大陸初の教会建設に着工したのが建築家のアロンソ・ロドリゲスというゲス野郎だったのだが、労働者たちが富を求めてさらに先へと航海に出たので工事は中断となり、建築再開は1519年で完成をみたのは1540年だということだが、何とか新大陸で一番最初の大聖堂の誕生という栄誉だけは守られたのだった。

サントドミンゴ大聖堂ともいわれるこの建築物は、ルネッサンス様式とゴシック様式の混合で、白い珊瑚礁の高い天井が印象的である。内部の祭壇のわきには14ものチャペルがあり、1506年にこの世を去ったコロンブスの遺体も遺言通りにスペインから運ばれてここに安置されていたという(現在はコロンブス記念灯台に移されている)。

サント・ドミンゴの旧市街は要塞に囲まれているが、その中心となる要塞がオサマ砦(RD$70)である。ここは1505年~1507年の間に造営されたサント・ドミンゴをカリブの海賊から守るための防衛の拠点となっている。高さは18.5mで、当時は市内で一番高い建物であり、新大陸時代最初の軍事建築物でもある。

昨日は押し売り観光ガイドの心理的ブロックにより入るのをためらったパンテオンにスペイン語、英語がわからないふりをして突入することにした。1714年にイエズス会の教会として建てられたパンテオンは、その後タバコ倉庫、国立劇場に変貌を遂げ、1955年にドミニカ共和国の歴代の総督や国民的英雄が眠る霊廟となり、常に衛兵に警護されているのだ。

ラス・カサス・レアル博物館からオサマ川沿いの防護壁沿いを練り歩き、中世ヨーロッパに匹敵する雰囲気を楽しんだ後、番猫により警護されているサンフランシスコ教会の廃墟を鉄格子越しに眺めた。勤勉な番猫は観光客に頭を擦り付けたり、膝に乗ったりと執拗なマークを緩めることはなかったのであった。

7月14日(木)
早朝ホテルをチェックアウトするとタクシーでラス・アメリカス空港に移動し、定刻9:00に出発したAA1026便でマイアミに帰って来たのは正午前であった。空港のAlamoレンタカーで再びヒュンダイ小型車をレンタルするとフロリダ半島の南端部に向かってひたすら車を走らせた。エバーグレーズ国立公園のゲートを抜け、フロリダ湾に面したFlamingo Visitor Centerに午後4時前に到着した。11月~4月が観光シーズンということもあり、真夏のこの時期は観光客も少なく閑散としているのだが、虫刺されに対する注意を促すFlamingo Mosquite MeterがIchimeter並みの存在感を示していた。

Flamingo Visitor Centerではフロリダ湾周遊コースもしくは湿地帯内部に分け入るコースの2種類のボートツアー(それぞれ$35/1.5HR)が定時開催されているのだが、丁度4時からBlack Waterという湿地帯ツアーがスタート目前となっていたので参加することにした。

ツアーガイド兼運転手のALEXの早口での説明によると今から通過する運河は人為的に作られたもので、この運河により湿地帯の環境に多大なる影響がおよぼされたという。淡水と海水が混じった汽水域であるこのあたりに生えているマングローブは4種類で、ワニは汽水域や海洋に住むクロコダイルと淡水域に住むアリゲーターの2種類が生息しているという。出航後早速岸辺で口を開けて休んでいるクロコダイルを発見したのだが、今回のツアーでワニをまともに見れたのはこの時だけで、期待していた多くのワニに囲まれてV6の♪ワニなって踊ろう♪を歌い踊るという状況には決してならなかったのだ。

エバーグレーズ一帯は哺乳綱海牛目に属するマナティーの生息地で、ツアー中にマナティーも姿を現し、観光客も思わず席を立って前のめりになったのだが、水の黒さに阻まれてその人魚のような雄姿を拝むことは叶わなかったのだ。いずれにしても動物がアクティブに行動するのは冬場ということで、ALEXの言う外来種の蛇との遭遇も不発に終わり、ツアーのほとんどの時間はマングローブを育てる黒い水面をむなしく眺めるにとどまってしまったのでALEXのチップの売り上げもほとんどゼロだったのだ。

アブのふくらはぎチクチク攻撃をかわしつつ、ボートツアーは5時半に終了となり、北米に生息するマウンテンライオンの亜種であるフロリダパンサーの幻影を追いながらエバーグレーズを後にして今日の宿泊先であるHoliday Inn Miami International Airportへとひた走った。

7月15日(金)
松田聖子よろしく♪マイアミの午前5時♪前に目を覚まし、5時半にホテルを出て空港のレンタカーセンターでヒュンダイ社を返却すると7:28発のUA便でシカゴまで飛んで行った。さらに11:00発ANA11便に乗り込むと12話を機内ビデオで一気に公開している「天皇の料理番」を完結して眠りにつくこととなった。

7月15日(土)
イチローの3000本安打達成を後押しするかのような追い風に乗ったおかげで定刻より1時間以上前の12時半過ぎに成田空港に到着し、イチロ自宅への帰路につく。

FTBサマリー
総飛行機代 ANA = \144,000、AA = \44,180
総宿泊費 $867.76
総タクシー代 $80
総バス代 $9
総メトロ代 $11.25
総レンタカー代 $151.04
総ガソリン代 $35.29

協力 ANA、ユナイテッド航空、アメリカン航空、Priceline.com、Alamoレンタカー、楽天トラベル、Booking.com、IHG

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