Go To FTB 紅葉を見に行こ~ようツアー北の国から

♪コロナの果て、緑の城、ぼくらのふるさと~♪

というわけで、1970年代の初頭、私が小学生として活躍していた頃に「トリプルファイター」という円谷プロの特撮テレビ番組が平日10分の枠で学校帰りの夕方にひっそりと放映されていた。内容は三位一体型のヒーローものであり、悪役側の社有車としてトヨタ・コロナの代わりにかのポンコツまめ車として名高い「スバル360」が大量動員されていた。

その話はともかく、経済と対策の両立に躍起になっている政府が始めたGo Toに乗っかるのは良いのだが、三本目の矢として何か一つ足りないような気がしたのでその答えを求めて錦秋まぶしい北の国をさまようトラベルが開催されることとなったのだ。

2020年10月18日(日)
午前11時発ANA061便に乗り込み、ロールスロイス製エンジンフロントの窓側席に陣取り、眼下に見える下北半島を眺めながら本州に別れを告げると広大な平野が広がる北の大地が迫ってきた。

定刻12時40分に新千歳空港に到着するとニッポンレンタカーで小型車をレンタルして早速近隣の千歳サーモンパークへと向かった。

「サーモンフェスタ」と名乗るご当地ピザで小腹を満たすとサケのふるさと「千歳水族館」で日本最大級の淡水魚水族館の全容を垣間見ることにした。支笏湖をフィーチャーした巨大水槽には青い背景に温泉宿で串を刺されて焼かれた状態でお目にかかるような魚の魚影が多数浮かび上がっていた。ふとシューベルトのピアノ五重奏曲のメロディーに耳をくすぐられたような感覚を覚えると目の前には虹色の♪マス♪が泳いでいたのだった。

♪め~ぐる季節の中で♪この水族館の最大の見どころは目の前を流れるちとせ川に直結した水中観察窓から見るサケの遡上である。まだまだピークを迎えていないとはいえ、三密を避けるようにソーシャルディスタンスを取りながら川を上るサケの姿は圧巻であった。また、途中産み落とされた卵を守るために窓辺で警護しているサケの姿を見ると傷つきながらも次世代へと夢を託す責任感が強く感じられた。

いきなり「バブー」という赤ちゃんセリフで我に返ると目の前の水槽にはふ化を控えたイクラちゃんが手厚く保護されていた。水族館を出ると目の前のちとせ川
には遡上するサケを一網打尽にするインディアン水車が仕掛けられており、その少し下流には上ることを躊躇しているように見えるサケが待機していたのだった。

都市空港近辺とはいえ大自然の驚異の一環を目の当たりにさせていただいたのでその勢いで内陸部へと遡上し、Go To 35%割引のの恩恵を受けるために札幌市南区にある景勝温泉街である定山渓に向かった。定山渓温泉街の中央に位置する老舗宿であるホテル鹿の湯にチェックインを果たすと目の前を流れる川を眺めながらナトリウム・塩化物泉で身を清めた。ブッフェ形式で供される夕食では鹿肉は出なかったものの北の大地の恵みを十分に堪能させていただいたのだった。

夜の温泉街を彩る「定山渓ネイチャールミナリエ2020」というイルミネーションが10月20日の千秋楽を迎える直前だったので支笏洞爺国立公園の内部に浮かぶ
ライティングパフォーマンスの粋を体感させていただくことにした。会場はホテル街の中心から徒歩数分の二見公園で参加者は自然に宿る生命の輝きが木々や岩石に花の様に咲き誇り眠れる森が目を覚ました様子にしばし寒さを忘れて凍り付いていたのであった。

10月19日(月)
北海道で紅葉を見に行こ~よ~となると定山渓エリアの「五大紅葉」が定番らしい。鹿の足跡さえ見つからなかった鹿の湯をチェックアウトすると昨夜の幻影の
正体を見るために再び二見公園を訪れた。かっぱの親子に見送られて川沿いを歩くとあたりは天地がひっくり返るほどのカラフルなモザイクで彩られていた。二見吊橋から峡谷を見下ろすと川面に映し出された天地のコントラストに再び言葉を失ってしまったのだった。

時間の都合で「五大紅葉」すべてを網羅するわけにはいかなかったのだが、定山渓温泉から車で15分で行くことのできる「豊平峡ダム」は押さえておくことにした。1972年10月に完成した豊平峡ダムは道内では一般見学ができる唯一のアーチ式コンクリートダムで札幌奥座敷の定山湖と千丈岩が織りなす自然豊かな景観美が多くの観光客を集めている。

すでにほぼ満車状態となっている駐車場に車を押し込み、ダムまで運行されているハイブリッド電気バス(往復\640)の長い列に並び、微妙なソーシャルディスタンスを保っているバスに乗り込むと10分程度で絶景エリアに辿り着いた。切り立った岩盤斜面に生える木々の色はマサに秋色であり、放流を眺めながら長らく放浪したいところであったが、次から次に訪れる観光客にも場所を譲りたく、絶景だけを脳裏に焼き付けて退散を決め込んだ。

昨今の感染拡大のニュースを見るにつけ、気持ちがくら~くなる輩も多いと思うが、大志を取り戻すためにさっぽろ羊ヶ丘展望台(¥530)へ立ち寄った。沈黙する羊と♪恋の町札幌♪の歌詞付き石原裕次郎顔面像を横目に展望台に急ぐとクラーク博士の指さす方向にはコロナの果ての緑の大地が広がっていたのだった!

新千歳空港に戻り、5時半発ANA074便に乗るまでのしばしの待ち時間に札幌で人気が出ているはずのエビの出汁が効いているスープカレーを掻き込みながら、子供の頃に「マグマ大使」から受け取ったはずの大志があればどんな困難も乗り越えられるはずだと信じることにした。

FTBサマリー
総飛行機代 ¥76,040(二人分、内¥63,120分はANAスカイコイン使用)
総ANA株主優待券代 ¥6,000
総宿泊費 ¥11,310(二食付き、二人分)
総レンタカー代 ¥11,220
総ガソリン代 ¥2,019
総高速代 ¥3,090

協力: ANA、ニッポンレンタカー、楽天トラベル、国土交通省観光庁

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