FTB再起動記念 ミッキー吉野推薦 !? 観桜ゴダイゴツアー

♪そこ~にゆ~けば~♪ (出典:ガンダーラ by ゴダイゴ)
♪A long time ago~♪ (Source:Gandhara by GODIEGO)

ということで、オミクロン禍による蔓延防止法に気を使ってどこにも行く気が起こらず、猫守にうつつを抜かしてトラベラーの本能が失われてしまったかのような低迷期を脱するべく、神聖なひなたの道への帰還を目指してFTBを再起動させる運びとなった。

その第一弾としてキャスティングディレクターとしてにわかに脚光を浴びているはずの奈良橋陽子が多数の楽曲の作詞を手掛けたゴダイゴにゆかりのあるツアーが桜吹雪とともに開催されることとなったのだ。

2022年4月9日(土)
正午発ANA023便、B787-8機は出発の準備に時間を要し、多少の遅れを出したものの満席の乗客をつつがなく大阪伊丹空港まで送り届けてくれた。


早速551蓬莱に駆け込み、豚饅を片手にニッポンレンタカーでワゴンRをレンタルすると、へぎ板(敷き紙のこと)にくっついた饅頭の裏皮を歯でこそぎ落としながら味わい尽くし、いにしえの都方面に向かって車を走らせた。

大仏と満開の桜のマリアージュが楽しめるということでSNSでバズっている壷阪寺の住所をカーナビにセットし、順調に目的地に向かっていたのだが、午後3時過ぎに残り1.3kmという地点で地獄渋滞の最後尾で行く手を阻まれた。30分経過しても300m程しか進まなかったので途中Uターンする何台かの車に倣って回れ右をして壷阪寺観光未遂はゲームオーバーとなった。

気を取り直して、「世界遺産である大峯の山々に抱かれ修験道と共に奈良県の美しい自然と文化が残る村」というキャッチフレーズを誇る天川村を所在地とする本日の宿泊地である洞川(どろがわ)温泉へと急いだ。道中立ち寄った道の駅 吉野路 黒滝で満開の山桜が青い空と緑の木々に映えている光景を見て留飲を下げると夕暮れ前に何とか洞川温泉卿に辿り着き、花あかりの宿 柳屋に投宿した。

源泉かけ流しの単純温泉でシンプルに豚饅の香りをリセットすると、夕食時間の6時45分迄まだ時間があったので温泉街を探索させていただくことにした。


洞川温泉郷は大峯山から発し熊野川の源流ともなっている山上川のほとり、標高約835m余りの高地に位置する山里で、その冷涼な気候から関西の軽井沢とも呼ばれるところである。どことなくなつかしく、昭和の時代にタイムスリップした雰囲気を漂わせるまちなみには、旅館・民宿が20数軒、そのほかに土産物店や古来の生薬・胃腸薬である陀羅尼助丸を製造販売する店13軒や各種の商店が軒を連ねている。

温泉街の外れにある真言宗醍醐派大本山大峯山龍泉寺に湛えられている清らかな水に釣られて軽く参拝させていただくことにした。マサに♪ホーリーアンドブライト♪の世界を体現しているかのような雰囲気の中で私の興味を引いたものが2つあった。一つ目は柔道一直線の主役である一条直也が履いていた仕様のものより明らかに重そうな鉄の下駄なのに盗難防止のためか、ポールに鎖で繋がれていた光景を見にしたことと、2つ目は「なで石」と呼ばれる丸い石で、仕様書によると持ち上げる前になでると軽くなり、叩くと重くなるという万有引力を発見したニュートンに対する果敢なる挑戦であった。

お待ちかねの夕食タイムになった。配膳されているメニューに「ならジビエ」はなかったものの奈良県産の山の幸を中心とした美味で健康的で満足のいくものであった。

4月10日(日)
今回の宿泊先に家族連れはなく、♪今日も子供たちの歌声が世界を♪大きく包むような状況ではなかったので安眠してさわやかな朝を迎えることが出来た。
旅館から撤収する際に宿主から今日の吉野は桜も満開だが人も満開だよと警告されたのだが、1時間後にその実態を思い知ることになった。

近鉄吉野駅を目指してワゴンRを走らせ、桜満開の週末には吉野山にはマイカー規制が敷かれていることは周知の事実であったが、臨時のパークアンドバスライド用の駐車場も午前10時の段階ですべて満車となっており、途方に暮れながら国道169号線のむなしい往復に勤しんでいた。その間に開発したバックアッププランによると終点の吉野駅より数駅前の近鉄駅の近辺に車を乗り捨て電車で吉野山にすべりこむという秘策であった。

近鉄六田駅と越部駅の間にホームセンターのコメリが駐車場を構えていたので買う気もないのに車を止め、便所まで利用させていただいたという罪悪感を引きずりながら越部から電車に乗り、11分後に終点吉野駅に到着した。満員電車から降りて見た光景は全盛期のゴダイゴの武道館ライブに向かうような花見客の大行列であった。

山全体が世界遺産に登録されている吉野山は標高毎に下千本、中千本、上千本、奥千本に区分けされ、桜の時期にはその開花状況が吉野町のホームページでアップデートされる体制が確立されている。

吉野山は全国的に桜の名所としてその名をとどろかせており、4月上旬~中旬にかけて3万本ともいわれるシロヤマザクラが世界中の観光客をおびき寄せている。日本全国の多くの桜の名所では、近代になってから桜並木を整備したり、古くからある古木を大切に 保護したり、いわゆる「花見」のために桜を植栽・管理しているのだが、吉野の桜はそれらのものと は一線を画し、「花見」のためではなく、山岳宗教と密接に結びついた信仰の桜として現在まで大切に保護されてきたのだ。

今日の花見客の行動は散り始めになっている下千本をスルーして満開になっている中千本にいち早く到着するために右往左往していた。中千本到達のためにはケーブルカーという名を借りたロープウエイに乗っていくのが最速のコースであるが、案の定乗り場には長蛇の列が出来ていたため、ケーブルカーの底面の「ようおこし」を見上げながら、急な遊歩道を駆け上がっていった。

中千本では土産物屋や飲食店で民衆がごった返していたのだが、桜吹雪舞う喫茶店で水分を補い、グリコ・森永事件で迷宮入りとなったはずのキツネ目の男が焼き栗をかき回しているのを尻目にやみくもに山の奥地に向かって行った。

ミッキー吉野という太ったリーダーがゴダイゴと命名し、その名をかたることで日の目を見ることとなったはずの後醍醐天皇の墓参りと♪ビューティフル・ネーム♪等の合唱(合掌)が今日ここにやってきた本来の目的であったので道標を頼りに向かうべき方向へと進んでいるはずであった。

しかし、山腹をピンクに染める壮大な景色に目を奪われているうちに、大和吉野で南朝政権を樹立し、室町幕府が擁立した北朝と争い、ついには吉野で崩御した後醍醐天皇陵に辿り着くことはかなわなかったのだった。

ゴダイゴが音楽プロデュースした1978年のテレビドラマ「西遊記」でも結局天竺に辿り着けなかったという落ちであったため、翌年の「西遊記II」への持ち越しとなったのだが、FTBにおいても当然吉野のリターンマッチは企画されることであろう。その時には猪八戒役が西田敏行から左とん平に変わったような大きなインパクトが与えられるはずだと負け惜しみながら流れ解散。

FTBサマリー
総飛行機代 ただ(すべてスカイコイン使用)
総レンタカー代 ¥9,460
総高速代 ¥4,040
総ガソリン代 ¥3,569
総近鉄代 ¥560
総宿泊費 ¥27,960

協力 ANA、ニッポンレンタカー、楽天トラベル、近畿日本鉄道、コメリハードアンドグリーン大淀店

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