アロハ ボンよ、ハワイ湯!?
というわけで、アフターコロナにもかかわらず、円安の定着により海外渡航客の戻り足が鈍く、航空会社もこぞってキャンペーンによる需要喚起に励んでいる今日この頃であるが、憧れのハワイ航路が♪ウエイクアップ デ・ザイヤ―♪を呼び起こす起爆剤になりうるかどうかを確認するためにオアフ島ツアーを開催することにした。
8月30日(水)
21:30発NH182便B700-300機は定刻通りに成田空港を出発した。機内映画のトップガン マーヴェリックを見ながらまだまだ若い者には負けられないという気概をあらたにしていると間もなくしてダニエル・K・イノウエ国際空港(旧名称ホノルル国際空港)に到着した。飛行時間はわずか7時間弱であった。
ハワイのさわやかな朝日を浴び、メラトニンを増やして時差ぼけを解消すると空港でタクシーを拾ってワイキキ方面に向かった。最初の宿泊先であるヒルトン・ハワイアン・ビレッジまでの道のりはわずか10km程度であったろうが、$50のタクシー代が重くのしかかってくるように感じられた。
12時半に追加料金を払ってアーリーチェックインをさせていただくとダイヤモンドヘッド・タワー上階のオーシャンビューの部屋のベランダに陣取り、おだやかな海に浮かぶヨットやボートをぼ~と眺めていた。
リゾートの敷地内にはヒルトン・ハワイアン・ビレッジの歴史を物語る年表や銅像も数多く設置されているのだが、1961年には映画「ブルーハワイ」の撮影でエルビス・プレスリーが宿泊した事実が大きな金字塔となっているようである。
約15年振りのハワイの雰囲気に酔いしれ、気が付くと昼飯を食いそびれていたので近場のアラモアナショッピングセンターに買う気もないのに足を運んでみることにした。
フードコートで高値のバーガー系のランチで胃袋を落ち着かせたのは良いのだが、ちょっとした日用品の購入の後、財布の中身を見てみると「アラ モぁ ナくなった」というセリフが思わず口をつくようにハワイで使うお金には羽が生えていることが実感された。
日も西に傾いてきた頃にヒルトン・リゾートの目の前に広がるデューク・カハナモク・ビーチを散策させていただいた。このビーチは国際的に有名な沿岸生態学者であるスティーブン・レザーマン博士(通称ドクタービーチ)が毎年選出する全米ベストビーチ・リストで、2014年にはアメリカのベストビーチに選ばれている由緒正しい砂浜である。
ビーチの内側には最新の水循環装置を備えた5エーカーの海水ラグーン、デューク・カハナモク・ラグーンが君臨し、サーフィンやカヌー等のアクテビティとは一味違う静かなひと時を過ごせる憩いの場となっている。
夕日に照らされるダイヤモンド・ヘッドを見送った後、予約なしで着席できたビーチフロントのトロピックス・バー&グリルにしけこんでディナータイムとなった。ハワイアンシーフードメドレーと和牛ブリスケを食させていただいたのだが、和牛にかかっている自家製バーベキューソースが市販品のA1ステーキソースと大差ない味である以外は非常にゴージャスな気分を味わうことが出来たのであった。
8月31日(木)
午前中の涼しげな気候につられて、おもむろにヒルトンを飛び出すとワイキキ・ビーチ方面に向かって歩を進めた。ビーチにはすでにリゾート客が繰り出しており、皆それぞれの出で立ちで小麦色のマーメイドを目指していた。
ワイキキのセンターとして不動の地位を確立しているロイヤルハワイアンセンターの数あるダイニングからアイランド・ヴィンテージ・ワインバーを選択し、ハワイアン系のプレートを発注して遅めの朝食を取ることにした。クレジットカード支払いによるチップは15%, 18%, 20%, 22%の言い値系選択制になっているもののハズキルーペの力を借りなければ細かい数字の確認が出来ないため、どうしても真ん中あたりに狙いを定めて☑マークを記入することになってしまうのだ。
ワイキキのメインストリートは巨大なショッピングセンターとしてブランド店の見本市と化しているので買う気がない私であっても購買意欲をそそられないようにANAが運営しているマハロラウンジにエスケープした。ANAのテリトリーということで心を許してくつろいでいたのだが、巨大ホテルブランドであるマリオットの回し者に$100をやる代わりにマリオットバケーションクラブ見学説明会への参加を勧められたので一本釣りされてみることにした。
マリオットとのアポ確定後、ヒルトンに戻ってプールサイドでくつろごうかと思ったのだが、どのプールや設備も芋洗い場と化しているようだったのでかろうじてアイスクリームを食すと一旦部屋に引き払い、体制を立て直して夕暮れ時に再びワイキキに舞い戻ってきた。
プーチンの影におびえることなく、カメハメハ大王と人気を二分するはずのデューク・カハナモク像にハワイへの帰還を告げるとしばしザ・ベンチャーズが奏でる電気ギターのテケテケサウンドの幻聴とともに波乗りジョニーや波乗りパイレーツを傍観した。
地元の画家の作品を数多く展示するギャラリーで絵になる男であるはずの長嶋一茂の幻影を一瞥し、エンタメディナーの鉄板となっているはずの鉄板焼き屋である「田中オブ東京」に入店した。先にマリオットから$100のバウチャーを授与されていたので夕食代にあてるべくANAトラベルに予約させておいたのだ。
ハワイカクテルの主流派であるはずのブルーハワイやマイタイで気分を高めると「田中」より技術を引き継いだはずの地元シェフによる鉄板用調理器具であるコテを使ったこてこてのパフォーマンスの幕が切って落とされた。ジャグリングの際にコテを落とした時は単なる小手先のパフォーマーかと思ったのだが、鉄板上での失敗にもテンパることなく見事に客のハートに火を灯したのだった。
9月1日(金)
チェックアウト時間ギリギリの11時までヒルトンで過ごした後、タクシーで空港まで移動し、ハーツレンタカーでKIAの普通車をレンタルした。ハワイは1年中温暖な気候でいつ来ても気軽にバカンスが楽しめるのだが、ワイキキ周辺の喧騒には辟易とさせられるので比較的人口密度の低いノースショアに移住するプランをあらかじめ組んでおいたのだ。
ノースショアのオールドタウンであるハレイワに到着すると、あたかも翼が生えたような♪バンザ~イ 君に会えてよかった♪的なテンションの高まりを感じた。そこにはウルフルズの代わりにBANZAI BOWLSの看板が掲げられており、朝のいい気分のうちに食すると思わず諸手を上げてしまうはずのメニューであるアサイー・ボウルがメインになっているので高値で発注してみることにした。
けたたましいミキサーサウンドですり潰したアサイースムージーの上には各種フルーツやナッツが盛り付けられており、カロリー消費量が激しいはずのサーファーの美容と健康にはうってつけの栄養食である。
ノースショアの海岸沿いの国道83号線の道路状況はスムージーとは程遠く、数回の地獄渋滞を乗り越えて今日から2日間お世話になるコートヤード バイ マリオットオアフ ノース ショアに到着した。ワイキキのリゾートホテルではないのにリゾートホテル並みの宿泊料と1日$20の駐車場代の支払いはFTBの財政を圧迫したもののこのマリオットグループでの宿泊が後日大きな恩恵をもたらせてくれたのだった。
ホテルの隣の広大な敷地でポリネシア・カルチャー・センターが圧倒的な存在感を誇っていたのだが、入場せずに軽く周囲を見学するにとどめておいた。それよりも近隣のスーパーやダイニングでの物品の相場の確認に余念がなかったのだ。
ビッグウエーブが押し寄せるサーフィンの聖地ノースショアは夏はベタ凪になると聞いていたのだが、ビーチにはそれなりの波がうねっており、地元住民の夕飯前の最適なエクササイズ環境が提供されていたのであった。
9月2日(土)
早朝よりローカルフードを提供してくれるはずの近隣のダイニングに寄ってみたのだが、人が並んでいるようだったので断念して再びハレイワに向かった。特に渋滞にも遭遇せずスムーズなドライブに気を良くしてBANZAI BOWLSでアサイースムージーを流し込んで朝食とした。
金銭出納には常に気を付けているつもりであるが、今回のツアーでは思わぬ物価高に見舞われ多額の出費を余儀なくされている中で、今後収支バランスを保っていく術を身につけさせていただくためにとあるパワースポットに向かった。
カイアカ・ベイ・ビーチ・パークと言う海に面した公園の中で車を停めるとおもむろにパックマンの強い引力に引き寄せられてしまった。
現地語でポハクラナイと呼ばれる伝説の岩は直訳すると「岩のベランダ」であるが、洗濯物も干せそうにないので通称バランスロックと呼ばれている。
この代物はハワイ先住民の故郷であるタヒチから流れてきて、霊力のある岩という言い伝えがあるので、不思議な力を有しているはずであろうことから投打のバランスにおいてはすでに伝説となっている大谷翔平選手も訪れ、パワーチャージした実績があるそうだ。
ちなみにハンバーガーの具になった心境を共有するためにマクドやモスの社員研修ツアーのコースになっているかどうかは定かではない。
パワーバランスの一端を垣間見た後、車は南に進路を取り、真珠湾を思い出すPearl CItyから西に切り込み、KO OLINAビーチを目指した。目的はむろんマリオットバケーションクラブ見学説明会に参加するためであった。
Valletパーキングに車を預けると颯爽と会場のコナタワーの14階に向かった。そこで出迎えてくれたセールスエグゼクティブのレディは勧誘ノルマを抱えているはずで♪きっとお前も悩めるマドンナ♪に違いないと警戒心が湧き上がった。
マドンナの説明によると目の前のラグーンは熊谷組が設計し、どんな嵐が起こってもビーチに高波が押し寄せることはないとのことであった。また、マリオットの敷地のとなりは広大な空き地となっており、ここで2014年に嵐15周年の野外公演が開催された実績まで誇っているという。
アイドルの所属事務所に嵐が吹き荒れている状況はさておき、マドンナが繰り出す条件は特にシャイな言い訳を仮面で隠している様子もなく、勧誘もさほど強引ではなかったのでいつしか前向きな検討段階に入っていった。通常であればマドンナの上司であるシニア・ディレクター登場による締めの特典をもって合意となるのだが、その前の段階、すなわち今回マリオットグループで宿泊している旅行者には無条件で1000ポイント贈呈するという殺し文句ですでにダイヤモンドヘッドのある東の山の方から♪いぃっそ エクスタシーィ♪ ♪強っく♪ ♪強っく♪というクライマックスの声が下りてきたような感覚を覚えていたのであった。
無事に契約書にサインを済ますと今日はリゾートの設備を自由に使ってもよいとのことだったので早速ロッカーで水着に着替え、ネズミ駆除のために放たれているマングースによって♪時を止めた楽園♪に導かれた。
♪とけて 魔性のリズム♪に体が支配されはじめたころリゾートを後にして帰路についたのだが、今後KO OLINAビーチがハワイにおける別荘の役割を果たすかどうかはFTBの匙加減にかかっているはずであろう。
ホテルへ帰る道すがらで海亀渋滞を引き起こすビーチに立ち寄ってみた。ハワイでは海亀をホヌと呼び、ノースショアのラニアケア・ビーチ付近はホヌが上がってくるため、その見学のために慢性的な渋滞が発生するとのことであった。幸か不幸かホヌは不在でその代わりにサーファーが波に上がっている姿を見て留飲を下げることが出来たのだった。
9月3日(日)
今回のツアーにてヒルトンからマリオットへの華麗なる転身を土産に空港へと向かった。空港で待っていたのは生身の海亀ではなく、フライングホヌと呼ばれる海亀文様をあしらった大型機であった。途中ハワイ出身の名野球選手であるウォーリー与那嶺のメモリアルで、お金を使いすぎた罪はDo not ウォーリーで問題ないとの啓示を受けたのでそのまま13:00発NH181便A380機に乗り込み帰国の途に着いた。
9月4日(月)
機内のオーディオプログラムで70~80年代の楽曲を聴きつつ、近年では仮面舞踏会は記者会見と同義語になってきていないかと訝りながら流れ解散。
FTBサマリー
総飛行機代 ¥106,180 / passenger
総宿泊費 $1,796.95
総タクシー代 $110
総レンタカー代 $127.8
総ガソリン代 $22.46
協力 ANA、ANAトラベル、Hiltonhhonors、MARRIOTT VACATION CLUB、ハーツレンタカー