昨今ショッキングなニュースが世界中を駆け巡っている。太陽のような存在の日本人二刀流リーガーの財産が悪の「ともだち」に支配されてしまったというではないか。まるで大きな谷の底でもがくように人間不信と葛藤する心情は察するに余りあるので日本人の心のふるさとであるはずの古都を訪問し、いかにして人間性を取り戻すべきかを検証するツアーが急遽催行されることとなったのだ。
2024年4月13日(土)
13:20発ANA991便は定刻通りに羽田空港を出発すると定刻より少し遅れて午後3時前に関西国際空港に到着した。早速ニッポンレンタカーでマツダの普通車をレンタルすると、とある夢の跡に向かって車を走らせた。
♪こんにちわ~♪ (こんにちわ~)♪西のくにから~♪
というわけで、大阪府の北摂に君臨する1970年に開催された日本万国博覧会の広大な敷地は今は万博記念公園(¥260)として今なお大阪府民だけでなく日本国民の憩いの場所として賑わっているので、桜の時期を逃したとはいえ、訪問しないわけにはいかなかった。
奇しくも今日は2025年4月13日に開幕するEXPO 2025 大阪・関西万博のちょうど1年前ということで20世紀少年が21世紀老年にバトンを渡すにはうってつけのタイミングだったのだ。
閉園前30分の午後4時半に滑り込みで入園を果たすと眼前に諸手を上げて立ちふさがっていたのは三波春夫ではなく、芸術を爆発させた成果物であるはずの太陽の塔であった。
人間に二面性があるように太陽の塔も赤を基調としたA面とは裏腹に、B面は皆既日食のように太陽の財産を蝕んでいるかのようなダークサイドが見事に表現されていた。
奇しくも園内に内蔵されている国立民族博物館では「日本の仮面」というみんぱく創設50周年記念特別展が開催されており、入館するまでもなく、仮面の下に隠されている人間の本性について考えさせられたのであった。
トーテムポールを見上げて姿勢を正し、イチゴソフトで乾杯して気を取り直すとわずか30分程の滞在時間の間に21世紀老年への坂道をいかに緩やかに下っていくかの指針が少しではあるが見えてきたような気がした。
今日の宿泊先は楽天トラベルに予約させておいた洛西・竹の郷にある、ホテル京都エミナースで、心の疲れを癒す2種類の天然温泉を堪能しながら雅の世界へと舵を切って行った。
4月14日(日)
宮内庁御用達の観光地である「桂離宮」はWEBでの参観申し込みが必須で、予約していた時間を念頭に阪急桂駅へ向かった。駅前のコインパーキングに車を預け、15分程歩くと桂離宮表門に着いたのだが、そこでは何故か当日券も販売されていたのだった。
参観はすべて宮内庁御用達のガイドによる案内で遂行されるのだが、日本人観光客をしのぐ人数で乗り込んで来た外国人観光客への説明は通訳ではなくオーディオガイドがその役目を果たしている。また、桂離宮の説明用の資料には「このパンフレットは、宝くじの社会貢献広報事業として助成を受け作成されたものです。」との説明が明記されており、決して「違法スポーツ賭博」からの資金援助は受けていないので負けを取り戻すための掛け金を上げることなく安心して観光に励むことが出来るのだ。
桂離宮は、17世紀初頭に創建された宮家の別荘で当初は「桂山荘」と称していたのだが、明治16年に宮内省所管となり、桂離宮と称されることになったのだが、創建以来永きにわたり火災に遭うこともなく、ほとんど完全に創建当時の姿を今日に伝えている。
桂三枝の「いらっしゃ〜い!」という挨拶もなく、午前11時過ぎに待望の参観の火ぶたが切って落とされることとなった。
最初に案内されたのは御幸門であるが、正門である表門に向かう道筋は徐々に狭くなっており、遠近法により限られたスペースが広く見えるような工夫が施されている。
切石と自然石を巧みに配した飛石を伝って外腰掛という待合い腰掛でしばしガイドの説明に耳を傾けると一行は参観コースに従って粛々と進んでいった。
桂離宮の中央には複雑に入り組む汀線を持つ池があり、大小五つの中島に土橋、板橋、石橋を渡し、書院や茶室に寄せて船着きを構えている。緑の池には亀や泥魚だけでなく、水の原をただようシロサギの姿も見受けられ、甘い話には裏があることを暗に示しているかのようだった。
黒く扁平な石が敷き詰められ池に突き出している場所は洲浜と呼ばれ、先端に灯篭を据えて岬の灯台に見立てて海を演出している。また、その先の中島と石橋のつながりは天橋立を模しているとのことである。
寛文2年(1662年)頃までには在来の建物や庭園に巧みに調和させた中書院、さらに新御殿、月波楼、松琴亭、賞花亭、笑意軒等が新増築されており、それらを一軒一軒丹念に見て回ると心の中のわびさびが自然に刺激され、すさんだ心が浄化されていくのであった。
桂離宮では月を雅に鑑賞するための仕掛けがここかしこに施されているのだが、特に月波楼は池辺の高みに立つ茶亭で、月見はいうまでもなく、苑内の主要な景観が一望でき、納涼の設備の役目も果たしているのだ。
全行程約1km、1時間程度の参観が無事終了するころには腹も減ってきていたので明星カップ焼きそばの「一平ちゃん」でも食ってみようかと思ったのだが、何とか踏みとどまった。やはり人生の岐路に立たされた場合は拳に顎をついて考えてみることが最も重要ではなかろうか?
関西国際空港に帰還し、15:40発ANA992便で羽田行の機中の人となり、飛行機は都心部の上空で高度を徐々に下げていった。スカイツリーや東京タワーの頂点を見下ろしながら、あらためて「驕る平家は久しからず」と肝に銘じながら流れ解散。
FTBサマリー
総飛行機代 ¥17,050 per passenger
総宿泊費 ¥35,244(2名分、2食付き)
総レンタカー代 ¥10,336(ガソリン代込み)
総高速代 ¥5,970
総駐車場代 ¥1,500
総走行距離 237KM
協力 ANA、ニッポンレンタカー、楽天トラベル、宮内庁京都事務