♪It’s so easy 走りだせよ! Easy to be happy. 風の青さを~ 抱きしめて 荒野へとまっすぐに オ~イエ~♪
というわけで1週間くらい前から♪かぜを感じて♪おり、発熱はしていないものの日々の筋トレ、体幹トレーニングで鍛えぬいた箇所に沿って筋肉痛が進行し、その後喉の奥底にからみつく緑黄色社会系のしつこい痰に悩まされていた。
症状も改善に向かっていたのでベトナム南部の離島で♪Easy to be happy 振り切って♪と歌えば完治するだろうと高をくくってかねてより計画しておいたフーコック島に向かうこととした。
2023年11月22日(水)
19:15成田発NH833便ホーチミン行きは定刻通りに出発し、7時間以上のフライトで2時間の時差を超えて日付が変わる前にはタンソンニャット国際空港に到着した。深夜にもかかわらず入国審査待ちの長蛇の列を見ながらここでも旺盛な旅行需要の回復の実態が見て取れた。
税関を通過して晴れてベトナムへの入国を果たし、イチロ到着エリアのATMに向かうとクレジットカードで百万ベトナムドン (VND) をド~んと出金し、一気にミリオネアへと成り上がった。
空港から今日の宿泊先であるHoliday Inn & Suites Saigon Airportへのタクシー代はVND 250,000という固定価格制になっているようだったので交渉の余地なく車上の人となり、約10分後にはチェックインを果たしていた。
11月23日(木)
モダンな外観のホテル上階のスイートルームから下界を見下ろすとマサにホーチミンの喧騒そのものが見て取れるのだが、空港近くという立地条件からか「放置民」と称されるはずのホームレスはいないようだった。
食欲不振のため、ホテルの各種ビュッフェメニューの中からかろうじて私の喉を越したものはレーザーラモンHG系の麺類であるはず「フォー!」で、その他流動食と合わせて何とか体力の維持に努めていた。
11時過ぎにはホテルをチェックアウトするとドアマンにタクシーを呼んでもらって空港に移動したのだが、タクシー代はVND 110,000で来るときの半額以下であった。
ベトナム航空運航の13:20発VN1827便はスモッグの曇り空を切り裂いて離陸し、インドシナ半島南部を西に進路を取り、タイランド湾に浮かぶ離島を目指して行った。眼下にベトナム最大の面積を誇るフーコック島の雄姿が確認出来るころには晴れ渡る空の下で視界を遮るものはなくなり、無事にフーコック空港に着陸することに成功した。
手付かずの自然が残る秘境のリゾートフーコック島は昨今欧米を中心に人気を集めるリゾートとして急速な発展を遂げている。島の大部分を山や丘、森、そして美しいビーチなどの大自然に覆われているのだが、伝統的なベトナムの魚醤・ニョクマムや胡椒の生産が主要産業となっている。
空港からフーコック島西海岸のリゾートエリアに位置するInterContinental Phu Quoc Long Beach Resortまでのタクシー代は定額のVND 200,000に設定されているようでわずか15分程度で現世の喧騒とはかけ離れたドリームランドに到着したのだった。
IHGのダイヤモンドエリートメンバー兼インターコンチネンタルのアンバサダーとしての地位を誇るFTBに対して用意いただいた部屋は数段階アップグレードされているはずの上階のサンセットビュー部屋であり、日が西に沈んで行くのを心待ちにしながらホテルライフをスタートさせることにした。
何はともあれホテルの中庭池の鯉を横目にプールサイドをスルーして早速ビーチに向かった。
ビーチの砂のキメ細かさが足裏に心地良い刺激を与えてくれるのと同時「キュッ、キュッ」というサウンドがマリンスポーツへの扉をこじ開けようとしていたのだが、さすがに今日の体調では水に浸ることは控えるべきだと考えたのでビーチサイドのカフェレストランSeaShackでビールをチビチビ飲みながらリゾート客のアクティビティを遠巻きに眺めていた。
体調の良し悪しにかかわらず燃えるようなサンセットは平等にやってくるので部屋のベランダからオレンジ色に輝く水平線を眺めてしばし旅情に浸らせていただいた。
夜になっても食欲は湧いてこなかったものの回復のための栄養素を吸収する必要があったのでホテル内のベトナム料理レストラン「Sora & Umi」に予約なしでしけこんだ。コロナビールでウイルスが上書きされることを期待しながら、ウエイターにおすすめの麺類を尋ねたところBun Cha (ブンチャ)を指名してきたので頼んでみることにした。ブンチャは焼いた豚肉とライスヌードルを用いたベトナム料理でサラダ素麺とも呼ばれている代物だ。グリルで焼いた豚肉の脂身(Cha)などを白いビーフン(Bun)にのせ、好みのハーブと甘酢っぱいつけだれに付けて食すのだが、その甘さが裏目に出てヌードルの完食には至らずもかろうじて葉っぱに巻いた焼肉で喉奥の痰を切り裂き肉食系の面目だけは保つことが出来たのだった。
11月24日(金)
朝9時半に朝食ビュッフェ会場に辿り着き、フォーや流動食で何とか胃袋を落ち着かせた。
今日は日がな一日浜田省吾よろしく♪ベッドでドン・ペリニヨン♪的活動に終始しながら♪いつかあいつの足元に BIG MONEY 叩きつけてやる♪というリベンジ妄想にふけるつもりであったが、リゾートの誘惑にはあらがえず、プールサイドに引き寄せられていった。
若いボーイが注文を取りに来たのでマルガリータを発注したものの、その数分後に先輩のボーイが飛んできてピザが焼かれそうであることを匂わせたのであわててクラシカル・マルガリータ、すなわち飲み物のマルガリータを頼んだのだと主張し、何とか事なきを得たのであった。
プールの水が少し冷たく感じる一方で遠浅のビーチの海水は病人には適温であるはずのぬるさだったのでここでタラソセラピーと洒落こむことにした。
透明というよりもエメラルドグリーンの海水は陸からの養分を豊富に含んでいるようであったが、特に魚類と遭遇することもなく、人類のレレレのレ~的アクティビティを横目にしばし緑茶を濁していた。
フーコックではサンセットは毎日見られる訳ではなく、今日は暑い雲に西方の視界を遮られていた。ディナーはいい具合に空いていたカフェレストランSeaShackで取ることにしたのだが、この度新メニューとしてシーフードの盛り合わせが松、竹、梅のランク付けでデビューしたようだったので景気づけに一番高いやつを発注した。スコップで運ばれてきたシーフードの盛り合わせは無造作にテーブル上のキッチンペーパーの上に流し出されたので早速食して見たのだが、甘辛いたれを絡ませた伊勢海老や普通の海老、ムール貝等はそれなりに美味であったのだが、付け合わせのパンまでは喉を通すことは出来なかったのだ。
11月25日(土)
今日も体調の回復がおもわしくなく、♪もうひとつの土曜日♪的なバラードの気分を引きずっていた。恩を仇で返すような♪友達に借りたおんぼろ車で♪と歌唱するほどやさぐれていなかったのだが、とりあえず♪海まで走ろう♪とは思っていた。
ビーチでは丁度パラセーリングがスタートする瞬間を目の当たりにしたのだが、数人がかりの力仕事の成果として晴れて沢田研二の♪TOKIO♪の気分を短時間だけ満喫出来ることが確認されたのだった。
パラセーリングが♪海に浮かんだ光の泡♪になったのを見届けるとさらにビーチの散策を進めることにした。忽然と目の前に姿を現したものは石垣の上に設えられた真珠貝のオブジェであり、MIKIOMOTOの気配はなくともこの島の主要産業が真珠の養殖であることを雄弁に物語っていた。
午後4時のレイトチェックアウトまでの時間をリゾートで満喫し、タクシーで空港へ帰ることになったのだが、ベトナムでは恒例となっているスマホの翻訳ソフトによるタクシー運転手の観光地への勧誘攻撃が始まった。彼は飛行機の出発まで時間があるので真珠の養殖場へ行かないかと誘ってきたのだが、体調の戻りが芳しくない私にとっては「豚に真珠」だと思えたので丁重にお断りし、速やかに空港へと向かわせた。
今日は昼食を抜いていたので空港でやたらとどんぶりサイズの大きい牛肉麺(フォー・ボー)を食した後、17:15発VN1828便でホーチミンへと帰って行った。
すでにホーチミンでの定宿に認定されたHoliday Inn & Suites Saigon Airportにチェックインし、ビールと生春巻きの完食でベトナム料理を締めさせていただくとあとはひたすらドン・ペリニヨンのないベッドで体力の回復に努めていた。
11月26日(日)
早朝4時過ぎに起床し、5時過ぎには寝ぼけタクシーで空港へと向かっていた。タンソンニャット国際空港で最後のフォーを流し込むと7:30発NH834便の機上の人となり、是枝裕和監督のカンヌ映画祭出品作品である「怪物」を見ながら、うちの怪物猫は切れの悪いうんこをしたときに床に肛門をなすりつける伝家の宝刀「うんこ切り」をマスターしているのだが、これも家に運が付く所業であると自分に言い聞かせながら流れ解散。
FTBサマリー
総飛行機代 ANA = ¥57,640.- / passenger、 ベトナム航空 = ¥10,570.- / passenger
総宿泊費 US$ 580.22
総タクシー代 VND 1,110,000.- (¥1,000 = VND 167,323)
協力 ANA、ベトナム航空、IHG HOTELS & RESORTS