アロハ ボンよ ハワイ湯!?
というわけで、昨年のオアフ島を皮切りに、年初にはカウアイ島を訪問し、ハワイのネイバーアイランドの旅も二週目に突入しているわけだが、今回は2002年12月以来のハワイ島に上陸し、今なお活動を続ける活火山に活を入れていただき、翌週から始まる新しい仕事へのエネルギーとさせていただくべくボルケーノツアーを敢行することと相成った。
2024年7月13日(土)
20:10発NH184便A380フライングホヌ3号機は定刻通りに出発すると約7時間のフライトで翌朝ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港に到着した。引き続き11:10発HA232便は少し遅れを出したものの最後部座席のエンジンフロントの窓からかすかに見えるなだらかな台地の稜線を横目にハワイ島のヒロ国際空港に滑り降りた。
哀愁を含んだメロディーであるはずの「つのだ☆ひろ」の♪メリー・ジェーン♪のリズムに迎えられることもなく、淡々と荷物を受け取りANA Travelersに予約させておいたアラモレンタカーのカウンターではあらも~コンパクトカーがなくなったということで日産の中型車かジープのどちらかを選んでよいと言われたので迷わずジープを選択してボルケーノツアーの幕が切って落とされた。
四国の半分の大きさを誇るハワイ島の台地の息吹を初日から感じるべく、ヒロから11号線を南西に走りハワイ火山国立公園(世界遺産)を目指した。入口で車1台につき$30の入園料を払う際に,前回来た時には$10だったことが脳内をかすめるといやがおうでも長い時が溶岩のように流れさってしまったことに感慨を覚えた。
今日のアクティビティは何もしないことがメインになるので早速事前予約しておいた火口淵に立つ歴史あるホテルである「ボルケーノ・ハウス」にしけこませていただいた。
1846年創業のハワイ火山国立公園内に立つ超有名なこのホテルの部屋はスタンダードとボルケーノクレータービューの2タイプに分かれており、九州弁で「ぼるけの~」と言われて高い金を払わされてもクレータービューには価値があると思ったので神様がくれ~た~はずの眺望を見渡せる部屋にチェックインした。
部屋からは雄大なキラウエア・カルデラが見渡せるのだが、幸か不幸かキラウエア火山は2023年の噴火以来沈静化している様子で悪魔のような赤い溶岩の流れや阿蘇中岳のような噴煙は見られなかった。
ボルケーノ・ハウス内にはギフトショップやレストラン、バーもあるので昼間の時間は宿泊しない多くの観光客で賑わっている。
ウエルカムドリンクが体内に浸透した頃を見計らって軽く近隣の散策に繰り出すことにした。クレーターも見る位置を変えると一層その輪郭が際立って見え、まるで隕石が落下した痕跡のようなきれいなえぐられようであった。
火山噴火後、長い時間をかけて生態系が回復していくわけであるが、名も知れぬ花や大ぶりのアジサイ、カウアイ島ほど数は多くないニワトリが数羽いた程度であったろうか。
ハワイ火山の予備知識を吸収するためにキラウエア・ビジターセンターにお邪魔させていただいた。ここでは記録映画による火山の成り立ちの説明だけでなく、外来生物により固有種が蹂躙されている様子も野生の豚等のはく製を使って効果的に表現されている。
何といってもここでの最大の見所はキラウエアに在住の火の女神「ペレ」の肖像画であろう。一部のサッカー通の間ではペレと言えば、ブラジルを優勝に導いたハナ 肇似のワールドカップのレジェンドのことを思い浮かべるのであろうが、ハワイの人々は、火山が爆発するたびにペレが怒ったといってその怒りを鎮めるための儀式が執り行われているという。
夕暮れ時にボルケーノ・ハウスに戻ると昼間かかっていた雲はすっかり風と共に去りぬ状態で台地を思わせるなだらかな稜線のみが地平線と化していた。
ボルケーノ・ハウス内にあるザ・リム(The Rim)というレストランを19:30に予約していたので赤く染まる夕日を肴に地産地消の料理を楽しませていただいた。メインで注文したチキンは数時間前に遭遇した中の一羽ではないかと疑う隙も与えないほど料理の質は洗練されたものであったのだ。
7月14日(日)
ハワイとは言え、標高1200mの標高ともなると朝はしっかり冷え込むのだが、凛とした空気にクレーターの輪郭が冴えていた。
ボルケーノ・ハウスをチェックアウトするとCrater Rim Drive Westに沿ってジープを走らせ、キラウエア展望台に到着した。ここからのキラウエア火口の眺望もさることながら、荒野に繁茂する大木を彩る赤い花が目に留まった。
観光客グループを取り仕切っていたガイドの説明によるとその植物はオヒア(OHI’A)というもので火山噴火後の生態回復の過程で一番早く根ざすものだそうだ。
その木はオヒアレフアとも呼ばれているようで、ハワイの伝説で、火山の神ペレが青年オヒアに恋したが、オヒアにはすでにレフアと呼ばれる恋人がいたので拒絶したところ、ペレは怒ってオヒアを醜い木に変えたので、他の神々がレフアを憐れんでこの木に咲く美しい花にしたという伝説さえ残っているのだ。
Crater Rim Driveから分岐したChain of Craters Roadは溶岩台地を切り裂き海まで下るダイナミックなドライブコースで過去に噴火したクレーターが次々と姿をあらわしてくれ~たのだったが、前回来た時には黒い溶岩も舗装したてのアスファルトのように焼きたて新鮮で何よりも海に溶岩が流れ込み噴煙を上げている姿が印象的だったのだが、今回はペレも溶岩流のシュートを海に向かって放ってないようだったので落ち着いて見学にいそしむことが出来たのだった。
一方で、岸壁に打ち付ける波と風は荒々しく、もろい海岸線には穴が開けられ、最終的にははかなくも崩れ去っていくのであろう。
Chain of Craters Roadからの帰りの上り道のビューポイントのいくつかで車を止めて外に出てみると溶岩を突き破って繁茂しようとする生命の力強さを感じることが出来る。これがマサに再生というものが目の前で展開されている景色である。
Lava Tubeなる溶岩が通り抜けた夢の跡系のトンネルが口を開けていたので通り抜けてみることにした。ここは約500年以上前に起こったキラウエア火山の噴火によって開口されたもので格好のトレッキングスポットとして整備されている。また周辺の熱帯雨林とのコラボレーションも見ものである。
キラウエア・カルデラの隣にキラウエア・イキ火口が平坦なトレッキングコースを提供しており、非日常空間を楽しみたいはずの粋な観光客がさっそうと闊歩している姿が目に入ったのだが、このアクティビティは次回に回すことにした。
ハワイ火山国立公園を退場し、ヒロまで戻り、島を横断する200号線に入ろうかと思ったのだが、ヒロの広さに翻弄されて道に迷ったので急がば回れで海岸線ルートを取り、西海岸のコハラ・コーストに向かった。
今日の宿泊先であるHilton Grand Vacations Club Ocean Tower Waikoloa Villageは前回宿泊したHilton Waikoloa Village内の敷地の奥座敷に位置しており、安定的な高値で観光客をおびき寄せている夢のリゾートである。
到着した時間が遅めだったもののサンセットには何とか間に合うことが出来たので絶景を胸に刻み、プールでのクールダウンも含めて次回訪問時の演習とさせていただいた。
7月15日(月)
今日は日がな一日ワイコロア・ビーチ・リゾート内にとどまることとなった。
ワイコロア・ビーチ・リゾートの核となっているのは言うまでもなくHilton Wikoloa Villageという巨大テーマパークリゾートである。
敷地内にはメイン・ロビーを中心にトラム(モノレール)とボートの交通手段が張り巡らされているのだが、トラムのスピードは歩いている人に抜かれる程度でスーツケースの運搬には便利である。ボートの方は運航していない様子でボート基地にぼ~と留まっていたのだ。
敷地内の動物の種類は豊富であり、ショップの店番として猫の手を貸している輩や害獣駆除のために導入され、その後野生化したマングースや多くの魚類はその辺の水のあるところで元気に泳いでいた。
この地の動物の王者として君臨しているのはDolphin Quest Villageに幽閉されている数頭のイルカで、イルカと触れ合うプログラムは高値だが、大変な人気を博しているようだ。城みちるのような♪イルカにのった少年♪体験程度のものであればそんなのいるか!と拒否されるかも知れないが、少なくともイルカのトレーナー気分は味わえるのではないだろうか?
トラムの路線と並行するように長い回廊が伸びているのだが、そこはオープン美術館と呼べるほどの美術工芸品が立ち並んでいる。
ハワイアン、ポリネシアンだけでなく、ヒルトングループの総力を結集して東洋からかき集めたはずの仏像や陶芸品はリゾートに疲れたバカンス野郎に心の平穏を取り戻させるための一服の清涼剤になっているのだ。
喧噪のヒルトンを後にしてワイコロア・ビーチ・リゾートを平行移動するようにMarriott’s Waikoloa Ocean Clubに移動した。昨年オーナーになったMarriott Vacation Clubを最大限に活用すべく2泊のみ予約が取れたのでここに来たのは必然の成り行きだった。
さすがにVacation Clubの立地だけに徒歩圏内に2つの便利なショッピングセンターがあり、ここでは気取らずにゆっくり過ごせる配慮がなされているように感じられた。
早速横断歩道を渡って目の前の規模は小さいキングス・ショップスをぶら散歩することにした。昼飯を食っていなかったのでハワイで人気のアイランド・ヴィンテージ・コーヒーに入店し、マイルドなスムージーをベースにしたアサイーボウルと匂いを嗅いだだけでそれだと分かるコナ・コーヒーを吟味させていただいた。
近くのスーパーまで足を延ばすとさすがにコナ・コーヒーの聖地だけあり、様々なパッケージを着飾ったものが高値で売られていた。中でもレオナルド・ダヴィンチもその出現を予想できなかったはずのKONA LISA COFFEEの微笑みに魅了されたものの買い付けは後日の楽しみに残しておいた。
マリオットに戻り、敷地内を散策したのだが非日常感を演出する奇抜なヒルトンとは異なり、ここではFish Pondやワイルドな溶岩台地が目の前に迫っており、より自然との一体感が楽しめるようになっている。
古代ハワイアンの遺跡を抜けてPublic Beachに向かう途中に野良猫の公認たまり場があるのだが、ここでは管理された餌場を巡って猫とマングースが共存兼仁義なき戦いを繰り広げているのである。
燃えるサンセットの移ろいは同時にルアウ(ハワイ語で宴会)の時間でもあり、ハワイ島西海岸のリゾートを彩るお約束の光景となっているのだった。
7月16日(火)
部屋にはバスタブは無かったが、昨夜の長ジャグジーで疲れを水疱と化していたので、早朝から猫の見守り等、施設内を散策することが出来た。また、昨夜の内に大型ショッピングモールのクィーンズ・マーケットプレイスで食材を買いあさっていたので朝食のネタには事欠かなかった。
今日はボルケーノツアーを締めくくるべく、マウナ・ケアでパワーチャージをしなければならなかった。
ハワイ島のツイン・ピークは言うまでもなく標高4,205mのマウナ・ケアと4,169mのマウナ・ロアであるが、その間を縫うようにして馬の鞍のようなサドルロードが通っている。ワイコロア方面からサドルロードには入れたのだが、マウナ・ケアへの分岐道を見誤って時間のロスとともにガソリンを食ってしまったので給油のために一気に東海岸のヒロまで突っ切ることにした。
つのだ☆ひろの♪メリー・ジェーン♪よりも♪メリーアン♪の方に共感する時代を過ごしてきたため、ヒロでは給油と給水のみですぐにサドルロードに引き返し、夜には♪星空のディスタンス♪が近くなるはずのマウナ・ケアに向かってジープのアクセルを踏み込んだ。
首尾よくマウナ・ケアへの分岐道が見つかったので標高2,804mのオニヅカ・ビジターセンターまで一気に駆け上がることにした。尚、オニヅカとは1986年に起きたスペースシャトル「チャレンジャー号」の事故で命を落としたオニヅカ大佐にちなむものだ。
ビジターセンター内には望遠鏡の模型やポスターが展示され、「すばる」という大型光学赤外線望遠鏡を要する日本が国際共同利用観測所の中心的役割を果たしていることが一目で分かるようになっている。
土産物のラインナップも豊富でマウナ・ケアのTシャツを購入する際に売店のおね~ちゃんから頂上まで足を延ばすのかいと聞かれたときに通常であれば谷村新司よろしく♪わ~れも行く♪と啖呵を切るところであったろうが、あいにく車がスバルの四駆ではなかったので今回は断念を決め込んでいた。
ビジターセンター周辺を散策するとそこはマサに不思議の国でまるでそこに生きる「アリス」になったような気分を味わった。
なるほど♪昴♪を要するマウナ・ケアは谷村新司の山であり、逆方向のマウナ・ロアは♪君のひとみは10000ボルト♪を誇る女神ペレが住むことから堀内孝雄の山と解釈することも出来るだろう。
マウナ・ケアへの山頂までは「サンセット・星空ツアー」に参加するのが王道であるが、異常な円安で見送っていたので次回は♪心の命ずるままに~♪行動することを誓いながら下山することとなったのだった。
早めの時間にワイコロア・ビーチ・リゾートに帰って来れたのでキングス・ショップス内のエーベイズ・アイランド・グリルでハッピーアワーを堪能させていただいた。タップから注がれるコナビール ロングボードアイランド ラガーで肉類を中心としたハワイ・リージョナル・キュイジーヌを流し込みカジュアルな気分で最後の晩餐を楽しませていただいた。
今日はルアウはなかったものの夕日の色は相変わらず鮮やかで日が落ちた後もなかなか抜けないオレンジ色が漆黒へと変貌するまで西の空から目を離すことが出来なかったのだ。
7月17日(水)
早朝4時過ぎに起床し、すでにリゾートのメンテナンスのためにかいがいしく働いている従業員を横目に帰国の準備を整えていた。丁度コーヒーショップ等の店が開店する6時にマリオットをチェックアウトすると昨日予習しておいたサドルロードを抜けてヒロへの帰路を急いでいた。
ヒロ国際空港には7時半過ぎに到着したのだが、朝食を取るべく店舗も少なかったのですみやかに9:30発HA161便の機上の人となった。ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港のANA Suite Loungeでモーニングビールとカレーで華麗なブランチを済ませると
12:20発NH181便は来た時と同じA380フライングホヌ3号機であることに気づかされた。
7月18日(木)
アルフィーは♪た~とえ500マイル離れぇても~♪という歌詞で長いディスタンスを表現しているが、ホノルル・成田間の区間マイルと比較すると果たして500マイルは遠いのかと考えながら流れ解散。
FTBサマリー
総飛行機代 ¥104,670 / passenger
総宿泊費 $750.16
総レンタカー代 ¥75,761
総走行距離 434マイル
総ガソリン代 $73.17
協力 ANA、ハワイアン航空、ANA Travelers、アラモレンタカー、HILTONHHONORS、Marriott Vacation Club